中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
アタル<心からの言葉>親愛なる皆さま、いま再び私は映像を通じて、国内外に住む大勢のチベットの同胞たちに、私の心からの話をしたいと思います。私には生まれつき知恵もなければ、後天的に学んだ知識もないので、皆さまに満足いただける話ができないかもしれません。理解不足や勘違いもあるかも知れませんが、お許しください。あなた方の大切な時間を少しいただき、私の話に耳をお貸しください。嘘偽りのない、白いミルクのような、心からの話をあなた方に捧げたいのです。私たちは菩薩である素晴らしき父なる猿の先祖から慈悲と慈愛を、母なる羅刹女の先祖から利他の心を受け継ぎ、愛に育まれ、高地の世界で何千年もの歳月、喜怒哀楽を共に生きて来た「愛しき」チベット人なのです。それが今、どんなことになっているか……私たちの空は、厚い黒い雲が広がって覆われてしまっています。その雲のせいで、碧い空も、太陽(ダライ・ラマ)の光も、月(パンチェン・ラマ)の輝きも、星々(その他のラマたち)が織りなす天の都もまったく見ることができません。太陽のない曇り、月のない暗闇、星の姿すら見えない黒い雲の下で、とても狭い場所で楽しみが消え、沈黙の日々を過ごすばかりなのです。さらに悲しいことには、数え切れない金の馬が略奪され、銀の剣を持つ何千何百の戦士が殺され、血肉骨で結ばれている同胞たち何万人もが、生きる場所を失い、帰る日の見えない異郷での亡命生活を続けているのです。世界の人々は文明のなか進んでいるのに、私たちは挫折して、今のような現状になっている。しかし、世界ははっきりと知っています。心と知恵のあるたくさんの人々が、私たちのために涙を流し、助けたり、支援しようと様々な方法で活動されているのです。それにもかかわらず、私たちの社会には不善で無意味な行為や争いが少なくありません。例えば、競馬の賭け事、金銀宝石の装飾を競ったり、車やオートバイを買い争ったり、カードゲーム賭博、カムだアムドだウツァンだと地域を区別して争ったり、宗派と教義の争い、土地争い、水争い、道争い、冬虫夏草の奪い合い、男女差別、わけもなく無茶をする人、親族間の争い、良くない神を奉ったり、占いや迷信を信じることなどは、得は一つもなく自分たちの力を削ぐ悪病のようなものです。今はもう、そのような自らの敵を利するだけの愚かな行為を捨て、(カム・アムド・ウツァン)三つの地域の人々皆それぞれが責任ある行動をとり、地域と宗派を超えて一致団結して、文化と技術で競いあい、正しい母語を話し、自らの固有の文化をまもり、環境を保護し、慈悲と友愛をもち、男女平等を獲得しなければなりません。そのために捨てるべきものもありでしょう。とにかく、私たちにとってもっとも重要なものは民主主義と自由と平等です。お腹いっぱい食べ、欲しい物が手に入り、貯金ができたくらいで満足しているのは恥ではありませんか。私が訴えたいことは、もはや衣食の苦労がないだけで満足している場合ではありません。自らの宗教と文化、言葉と文字、伝統と風習などを、口先だけではなく実際の行動に移し、世界のほかの人々と同様に、自らの利益と権利を完全に行使できるときに初めて、人間の部類に入ることができると言えるのではないでしょうか。ありがとうございました。