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タイは今年も大雨との予想=水路建設、水門修理……間に合わない対策(ucci-h)

2012年03月01日

■タイ政府の洪水対策の進捗状況はどうなっているのか?■

*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年2月24日付記事を許可を得て転載したものです。


USS Mustin provides post-flood relief in Thailand [Image 9 of 13]
USS Mustin provides post-flood relief in Thailand [Image 9 of 13] / DVIDSHUB

■今年も大雨?


2月も終わりに近づいてきた。雨季入りまであと2ヶ月強だ。タイ気象庁によれば、今年も暑季(3~4月)中に雨がありそうとのこと。また、低温が続く昨年に似た気象を予報している。あまり暑くならないのは過ごしやすくていいが、やはり大雨が心配だ。

気象庁によると、去年は例年より雨量が40%多かった。今年は20%増程度と予想している。昨年同様、今年もラニーナの張り出しとインド洋の高気圧のぶつかりが観測されるという。タイ政府の洪水対策はどう進んでいるのだろうか?予算編成が遅れがちで、ゆっくりと言ってよいかもしれない。


■タイの洪水対策

タイ政府は5つの洪水対策を推進している。

1:ダムの大量放水が洪水の要因にならないよう、今から多めに放流しておく。
2:昔あったような、水を大量に貯める地帯「モンキー・チーク」を設ける。
3:運河を深くしたり、水門を修理したり、道路を高くしたりして、水の害を少しでも防ぐ。
4:工業団地に高い塀を築き、洪水になっても守れるようにする。
5:大きな放水路を設計し、アユタヤからタイランド湾まで大量の水を流すようにする。

それぞれの進捗について見ておこう。

1:プミポン・ダムの4月末時点での貯水率目標は45%にまで引き下げられた。しかし大雨がある可能性を考えれば、40%未満にする必要がある。45%は異常気象がないことを前提にした目標だ。なお、昨年のダム管理の責任者チャリット灌漑局長は、2月22日に更迭されている。

2:各地に200万ライ(32万ヘクタール)の貯水地帯を確保する計画だ。計50億立方メートルの水を貯めることができる。昨年の大洪水で中央平原に降った雨量は200億立方メートル。ダムに50億立方メートル、 貯水地帯に50億立方メートル、運河と川を通じて海に流れ込んだのが100億立方メートルという内訳となった。

現在、ナコンサワンを中心に150万ライ(24万ヘクタール)の土地を確保している。そのための予算として計50億バーツ(約132億円)が2月半ばに追加承認された。どこの土地を水浸しにするか、住民の利益もからむ難しい問題だが、政府は敢行する腹積もりだ。

3:バンコクを中心に、23もの運河の浚渫、水門の修理、道路を高く改造する費用として100億バーツ(約264億円)を投じる。ただ、工事は難航しているようだ。というのは運河沿いの土地はほとんど利用されていてアクセスが難しい。昨年の洪水で運河の水位も高止まりしている。首都圏の道路は車がひっきりなしに走っている。この状況では工事を3ヶ月で完了するのは無理だ。今年の雨季には間に合いそうもない。

4:工業団地6ヶ所に全長140kmもの防水壁を作る。予算50億バーツ(約132億円)は2月半ばに閣議で承認された。すでに着手しているところもある。ロジャナの完工は9月末になるが、それ以外の場所では8月末までに完成させる予定だ。

5:「長期的な水路プランは出来上がった」と、2月15日キティラット副首相は述べたが、詳細は発表されていない。アユタヤからバンコクの東側を回って、海まで抜ける幅180m、全長100kmの水路が、2~4年かけて建設されると噂されている。

いろいろな対策を進めているものの、今年の雨季に間に合うのは工業団地の防水壁と貯水地帯の承認ぐらいだろうか。今年は大雨にならないことを祈るばかりだ。

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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年2月24日付記事を許可を得て転載したものです。

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