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「パンダ警察が家にやってきた」軟禁されたチベット人作家ウーセル(tonbani)

2012年03月02日

■「またパンダが来る」ウーセルさんの治安警察呼び出し顛末■

*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年3月1日付記事を許可を得て転載したものです。


北京在住のチベット人作家・ウーセルさん。昨年、文化の発展に寄与した芸術家や文化団体に送られるオランダのクラウス王子賞を受賞した。
(関連記事:中国のチベット統治を世界に伝えた作家ウーセル、蘭クラウス王子賞受賞―チベットNOW

ところが授賞式が原因で、2月29日、「パンダ」に呼び出されてしまった。拘束されることはなかったが、現在は階下に監視がつき、軟禁状態にある。以下はウーセルさんのツイッター書き込みをuralungtaさんが翻訳してくださったもの。


ウーセルさんと「パンダ」

*熊猫又要来了。。。またパンダが来る。。。
※パンダ≒国宝(グオバオ)=国保(グオバオ)=中国公安部国内安全保衛局(中国の治安警察)

*パンダがなぜ来るのかは分ってる。待ちますか。。

*(「家にいるのか?」に返信して)(マンションの)ロビーまで来た。うっとうしい!

4時間半経過


*皆さまご心配おかけしました。先にお礼だけツイートして、ゆっくり原因を書きます。

*こういうわけです。光栄なことに、私はオランダの2011年度クラウス王子賞を受賞しました。本来であれば明日〔3月1日〕、クラウス王子基金会の代わりにオランダの駐中国大使から授与いただく予定でした。もともとはクラウス王子基金会長が訪中して表彰してくださる予定でした。しかし、基金会長はオランダの中国大使館にビザの発給を拒否され、北京に来られなくなったのです。さらに駐中国オランダ大使館も、私に賞を授与することは許されないという警告を受けました。

*さらには、オランダの中国関係筋(おそらくは中国大使館)では昨日〔2月28日〕、オランダ当局に、オランダ駐北京大使館に対して私に賞を授与しないように要求しろという圧力もかけてきました。しかし駐北京オランダ大使館は、それでも私に賞を授与する、ただやむを得ず大使が公邸で私的な小パーティを開く形にする、と表明しました。それで私も数人の友人だけを招きました。私は、これなら問題になるはずがない、私的なパーティに出かけるだけなのだから、とその日を待ちました。

*けれど〔北京時間〕午後6時、北京市公安局の国保〔国内安全保衛局〕から電話があり、面会の必要があると言ってきました。私は、一体どういうことか、といぶかしみました。ただし思ってもいなかったことに、私が一緒にパーティに行きましょうとお願いした友人のなかに、ほかにも国保から、明日の受賞に参加することは許されない、と言い渡された人がいたのです。夜8時ごろ、国保2人が来て、夫の王力雄が私の代わりに事情聴取を受けに行きました。比較的長くかかりました。彼らは、明日はオランダ大使館のほうへ行くことはできないと言い渡しました。

*パンダにはほかにもこんなことを言われました。3月のこの一時期は出かけてはならない、出かける時は彼らもついていく。実際には、2週間前には彼らは既に出勤していて、マンションロビーの事務室に座っているのですが。今も〔監視の〕車があるみたいで(車の中に人がいる)、建物の外に停まっています。後から私たちは振り返ってみて、これらはクラウス王子賞受賞に関係するだけでなく、「両会」とも関連するだろうし、さらにはチベットとも関係しているだろうと考えています。※両会=人民代表大会と政治協商会議。3月に開かれます。もうすぐ。

*以上が、今回の出来事です。ツイッター仲間の皆さまにはありがとうございました。いずれにせよ、この2カ月来、“お茶を飲まされた”〔国保に口実をつけて呼び出され恫喝された〕のは4回を数えます。王力雄(ウーセルさんの旦那さん)がいうには、あなたの民族のなかにはあれほど多くが焼身するものは焼身し、逮捕されるものは逮捕され、失踪させられるものは失踪させられ、あなた1人が授賞式パーティをだめにされたところでそれがいかほどのものか、1カ月自宅軟禁されてそれがいかほどのものか、ですって。

*王力雄が言うには、あなたの民族の人たちすべてが苦しみのなかにあるときに、パーティに出かけることがそもそもだったんだよ、と。。まあこんな風に話していますけど、それでも私はとても悲しいです。萧瀚と阿花はわざわざ来て慰めてくれて、阿花は微博で「きれいな礼服を着てちょっと出かけるめったにない機会をなくしてしまった、美女にきれいな服を着させない奴なんてみんな邪悪な悪者だ!」と書きこんでいました。そのとおり、みんな邪悪な悪者!

*それにしても考えるだに、また改めて歴歴を見て驚かされることには、オランダ大使館による表彰活動は、これ以前に、中国でも、ツイ・チェン(崔健)、栗憲庭先生、ジャー・ジャンクー(贾樟柯)などがクラウス王子賞の受賞歴があって、そのなかの誰ひとりとして授賞式に出てはならないなどと阻止された話も耳にしていないのです。なぜ私だけが「特殊化」されているんでしょうか? 私がチベット人だから? 異なる意見を発表する作家だから? なんとも中国外交部にはご足労いただいてわざわざ禁令を下されたことでしょうね、さらに治安警察まで派遣して! 中国共産党のまったくなんとお偉いことでしょう!

uralungtaさんによる、原文を含めたツイッターのまとめはこちら


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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年3月1日付記事を許可を得て転載したものです。

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