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2012年03月03日
Melkøya / Joakim Aleksander
■ミャンマーのエネルギー資源
ミャンマーは豊かなエネルギー資源を持つ。
原油の確認埋蔵量は6億8600万億バレル。予想埋蔵量はその4.7倍の32億バレルと推定されている。天然ガスの確認埋蔵量は17兆6500億立方フィート。予想埋蔵量はその5倍の88兆7000億立方フィート。
世界の原油資源国と比べれば、ミャンマーの原油埋蔵量はたいした量ではないが、天然ガスはそれなりの規模である。確認埋蔵量こそ全世界6600兆立方フィートの0.27%相当しかないが、予想埋蔵量でみればインドネシアやマレーシアに迫れる天然ガス資源国だ。
もっともシェールガスの開発で世界の天然ガスの埋蔵量は倍増しているようだが……。
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■タイに天然ガスを輸出
現在の生産能力は原油が1日あたり2万1000バレル。天然ガスは1日あたり12億立方フィートである。残念ながら天然ガス生産量は1997年から停滞しているようだ。CIAによれば、天然ガス生産量は世界38位。エネルギー量は原油1バレル=天然ガス6600立方フィートで換算できる。天然ガス生産によるエネルギー量は原油の9倍という計算だ。
生産された天然ガスの70%は海外に輸出している。主な輸出先であるタイでは、天然ガス需要の25%をミャンマーに依存している。1988年からミャンマーでは政治動乱が続いたが、タイ向けの天然ガス供給は途絶えることはなかった。
タイ最大の企業・PTT(タイ石油公社)が65%の株式を保有する子会社PTTEP(PTT開発生産)がある。エネルギー資源開発を担うPTTEPは、1989年からミャンマーでのエネルギー開発に取り組んでいる。1988年の経済制裁で欧米の石油会社が参入できなくなって以来(仏トータル社を除く)、中国のシノペックやマレーシアのペトロナス、インドのエッサー社などとミャンマーの資源開発に取り組んできた。
■PTTEPの探鉱
PTTEPは1989年にブロックFを探鉱したが、ガスは発見できなかった。その後、3つの沖合ガス田、2つの陸上ガス田を開発。またヤダナとイェタガンの沖合ガス田も他社と組んで開発している。現在はベンガル湾の「ザウティカ」のガス田に8割を出資(残り2割はミャンマー石油ガス社)、2013年の生産開始を目指しているほか、「M-3」、「M-11」などの地域で探鉱に取り組んでいる。
ミャンマーには深海探査の技術がないため、PTTEP社の深度1000m以上を探査可能な技術が力を発揮しているという。ミャンマーの資源開発にはなお二の足を踏む外国の石油会社が多い中で、PTTEPはタイの天然ガスのニーズを背景に積極的にミャンマーのガス田開発に取り組んでいる。
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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年3月2日付記事を許可を得て転載したものです。