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【王立軍事件】王代表、全人代に「休暇願」=海外メディアの「荒唐無稽」な報道(水彩画)

2012年03月03日

■王立軍事件は本当に単発の事案なのか■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年3月2日付記事を許可を得て転載したものです。


Tea Cups at Disneyland
Tea Cups at Disneyland / Averain

中国を支配する9人の老人たち、それが中国共産党中央政治局常務委員。今秋の18大(中国共産党第18回全国代表大会)で交代するわけですが、その有力候補の一人・薄熙来をめぐって今冬、大きな動きがありました。

腹心の部下であった「打黒英雄」王立軍が公安局長の座から外されたかと思うと、成都市の米領事館に逃げ込むという大事件が発生。重慶市からは追手の警察車両が大挙襲来し、領事館を包囲するという騒ぎに。「細かすぎて伝わらない王立軍事件ウォッチブログ」と呼ばれている(?)「中国という隣人」が最新情報を伝えています。

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■王立軍が全人代に「休暇願い」

2月9日に「(王立軍が米国成都領事館に1日滞在した件について)関係部門が調査を行っている」との公式アナウンスが流れてから、まもなく1ヶ月。両会(全国人民代表大会、全国政治協商会議の総称。日本の国会に相当)を目前にした3月2日、進展がありました。
(参照リンク:「依然重慶市全人代名簿に王立軍の名前」(明報、2012年3月2日)、「趙啓正「王立軍事件に過剰な想像は不要」」(大公報、2012年3月2日))

3日から全人代に先駆けて全国政治協商会議が開催されます。その趙啓正報道官の記者会見での一幕です。

記者「前重慶市副市長の王立軍が在成都米国領事館に保護を求めた件だが、中国政府は薄熙来や重慶市指導部を依然信用しているのか。事件は十八大に影響はあるのか」

趙「ご存知のように、王立軍は現在関係部門の調査を受けている。調査は進展があった。彼は全人代代表だが、すでに休暇願いを出しており、会議には出席しない」

というもの。噛みあわない応答ですが、記者が前副市長と「クビ認定」をしていることと、依然として全人代の代表であるという硬直した事実とのギャップがおかしいです。言うまでもないことですが、王がいまだ全人代の代表なのは処分が決まっていないからです。

また薄熙来については「近年の重慶経済建設、社会発展は大きな成果を得た」と評価。薄熙来の立場も公式には変化なしであることを裏付けています。


■海外メディアには荒唐無稽な報道も

また、記者会見終了後に海外記者と持たれたお茶会で、「王立軍事件の後、一部メディアの報道はどれもパズルのピースのようだ。資料が完全でないから、欠けた部分を想像で補っているから正確ではないし、荒唐無稽なものもある」と釘を刺す場面も。 国内メディアは王立軍事件を匂わせることすらしていないので、当然矛先は海外メディアに向かいます。「境外」という表現なので、すなわち香港紙も怒られる対象です。
(関連リンク: 「趙啓正「王立軍事件は単発の事案」」(RFI中文、2012年3月2日)、「趙啓正「王立軍は全人代欠席」」(BBC中文、2012年3月2日) )

崔天凱・外交部副部長が2月9日に口にした「単発の事案」という言葉が今回も使われています。その時点で「薄熙来に塁は及ばないとの意図では」とも指摘されていましたが、今回は「過剰な想像をしないよう提議しておく」とさらに一歩突っ込んだ発言。やはり王立軍1人で終わらせるということでしょうかね。

それにしても、あちこちからピースを寄せ集めて近しいと思われる事実を想像しているのは、公式が何も発表しないからでしょう。私もこうして香港や反体制メディアや外国メディアの中国語版をかき集めてるのはそのためです。まあ、かき集めてもよく分かりませんでしたけど。

結局目立った進展のないまま、両会に突入しそうです。台湾メディア辺りが両会前後で薄熙来に突撃取材するのを待ちましょう。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年3月2日付記事を許可を得て転載したものです。  
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