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【王立軍事件】「フォトショップで作った捏造画像だ!」重慶市市長、報道官がコメント(水彩画)

2012年03月11日

■王立軍事件について重慶市がコメント■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年3月6日付記事を許可を得て転載したものです。


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■王立軍事件とは


中国を支配する9人の老人たち、それが中国共産党中央政治局常務委員。今秋の18大(中国共産党第18回全国代表大会)で交代するわけですが、その有力候補の一人・薄熙来をめぐって今冬、大きな動きがありました。

腹心の部下であった「打黒英雄」王立軍が公安局長の座から外されたかと思うと、成都市の米領事館に逃げ込むという大事件が発生。重慶市からは追手の警察車両が大挙襲来し、領事館を包囲するという騒ぎに。「細かすぎて伝わらない王立軍事件ウォッチブログ」と呼ばれている(?)「中国という隣人」が最新情報を伝えています。

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■重慶市報道官が語った王立軍事件

5日、王立軍事件について、重慶市が華龍網の取材を受けました。事件後、重慶市の初のコメントになります(華龍網)。

「王立軍事件が起きた今、ここ数年間の政法公安業務及び「打黒除悪」(マフィア・汚職官僚撲滅)についてどう思いますか」との質問については華麗にスルー。

先日、薄熙来が久々に持ち出してきた「中央の手配」というフレーズを筆頭に、時期的に旬な「雷鋒」を散りばめつつ、これまで重慶公安が挙げてきた成果は「一人の行為ではない」として、「王立軍の件で全市政法工作の上げた成績は否定できないし、重慶の改革発展の大局に影響する事はない」と強調しています。

「多くの記者が依然として王立軍の件に関心を持っています。王立軍の件について状況を教えてもらえませんか」「王立軍の件で最新情報はないのですか?」との質問にも、「外交部が2月9日に公式に発表しているように、関係部門が現在調査中であるため、重慶は更なる説明をしない」と説明を避け、特に目新しいことは言っていません。


■「市長がパトカー70台を率いて突撃」はフォトショップの捏造画像だ!

華龍網:一部サイトやメディアが事件発生後、黄奇帆市長が70台の公安車両を率いて成都に向かったとしているが、本当でしょうか?

重慶市:黄奇帆、陳存根(市常務委員、組織部部長)、徐敬業(市常務委員、市委紀検査委書記)の3人の市指導部と、秘書長が市委、政府に派遣された。70台の公安車両など存在しないことを、責任を持ってお伝えする。

また、ネットで私も装甲車の写真を見たが、技術部門の鑑定ではPS(フォトショップ)だ。ネットユーザーやメディアが王立軍の件に注目してて居る事は理解できるが、客観的に理性的に発言してもらいたいものだ。

成都に突撃した顔ぶれは噂通りのもよう。公安車両が囲んでいたのは、結局どこだったのでしょうか?普段フォトショを使って合成写真をこしらえるのは政府側なのですが、何だか逆手に取られた感じです。


■「事件」じゃないから

華龍網:サイトや境外メディアによると、米国成都総領事館で黄奇帆市長と重慶市関係者が王立軍を重慶に連れ帰ったとありますが、どうですか?

重慶市:そんなことはありえない。デマだ。王立軍の件の処理について、重慶は始終国家の関係部門の指導下の下、積極的に工作を展開している。事後、市委は常務拡大会議を開催し、中央関係部門が調査を行うのを全力で支え、重慶発展の安定的大局を守り、全力で調査、証拠立て工作に協力していく。

事件という単語を避けているのが顕著です。事件ではなく一件(中国語では「一事」)という言葉を使ってるんですね。こういう微妙な言い回しは気になります。反日デモと言わず、「渉日」という表現をしていた時期がありましたが、使えない事情があるのでしょう。


■胡錦濤様にしっぽふり

華龍網:重慶のここ数年の経済社会発展状況について教えてください。

重慶市:近年来、重慶は党中央、国務院の正しい指導下で、科学的発展観の堅持を指導として西部大開発などの重大な歴史的機会をしっかりと掴み、胡錦濤総書記の314総体部署と国発3号文件の精神を全面的に実行し・・・(中略)重慶の明日は明るいと信じています。「百聞は一見にしかず」。国内外のメディアや各界の方々が重慶に来られ、ご覧になられるのをお待ちしている。

全体的にかみ合っていませんが、事件という単語を使いたがらないのと、党中央や国務院への服従を示す表現が目立ちます。黄奇帆市長が重慶市の戸籍改革について語った際に、「国務院の制度に沿って改革を行い、精神に沿って」と4回連呼しているように、露骨な服従体勢は続いています。


■重慶市市長もコメント

報道官だけではなく、重慶市のナンバー2、黄奇帆市長も鳳凰網の取材に答えています。先日、北京に到着した時には「その(王立軍の)話はするな」と記者を振り切ったのですが、一転して取材を受けました。ここに来ての態度変化は、重慶市で対応が決まったということなのでしょう。



ここでも「70台の公安車両を引き連れて成都に向かったなんてデタラメだ」と「領事館の外で待ち受けていた公安車両は四川ナンバーなんだから、何らおかしいところはない」と、重慶から公安車両を引き連れたという指摘を否定しています。

香港メディア相手なので口の回りも滑らかですが、重慶市政府報道官は公安車両などなかったと説明しているのに対し、市長は「それは四川省のだよ」と食い違うのが気になるところです。

また、黄奇帆は秘書長と2人だけで領事館に入ったようなことを言ってますが、報道官の説明では市の幹部2人を従えた4人体制だったはず。これは黄奇帆が言い忘れていただけかもしれませんけど、口裏を合わせるので有名な中国様が、この様に目立つ不統一をしでかすというのは珍しいですね。

しかも、この発言を受けて、四川省政府の報道官は「四川省は王立軍事件に関わっていない」と、重慶側の説明を真っ向から否定。

さらに、ロック米国大使は同5日、これまた鳳凰網の取材に、「王立軍は成都米国総領事館を自ら離れた」と答え、黄奇帆が説得して連れ出し、国家安全部に引き渡したという説明との食い違いを見せています。

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