中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年03月11日
Wodka. Vodka. / karola riegler photography
■ロシアの健康診断、体重は自己申告!
日本の健康診断でいつも違和感を覚えたのは身長・体重を測られるときでした。確かに、身長は自分で測る人はあまりいないと思いますので、測ってもらってもいいのかもしれません。しかし、体重計なら今どきほとんどの家にあると思います。であれば、健康診断のときわざわざ測らなくてもいいと、私は勝手に思ってしまいます。しかし、私が一番抵抗感を覚えたのは、会社の健康診断でお腹周りを測られたときです。私のお腹をほっといてくださいという気持ちでした(笑)。
ちなみに、ロシアの会社で行われる健康診断では身長も体重も腹回りも測られません。体重・身長は自己申告制で、腹回りは関係なし。
■ロシアン採血
しかし、ロシアもロシアで日本とは違うへんちくりんなところがあります。例えば、血液検査です。特に血糖値だけを見る簡易検査は「薬指」からの採血となります。看護師さんが必死になって指を絞るから非常にイヤな感じです。タチアナはこの検査が大嫌いなのですが、ロシア人の同僚たちは違う意見だからびっくり。
皆さんはどちらかというと日本の一般的な採血方法の方がこわいらしいのです。どうも看護師がうまく血管に針を刺せないんじゃないかと不安になるのだそうです。一方、「薬指採血」は血管を狙わず「適当に」刺しているだけだから、皆さんはその方が安心らしい。(ま、どちらの血液検査もイヤですけど・・・。)
■麻薬・アルコール中毒診断を導入
もう一つロシアで変わっているなと思うのは、どの健康診断にも「神経科医」が入っていることです。診察方法としては、小さなかなづち(?)で膝あたりなどを軽くたたいて神経反応を見ること。そしてもう一つ、手を伸ばした状態で目を閉じて、そして自分の鼻に触ること。決まってこの二つだけだから、「神経科医ならこの私でもなれる」と生意気なタチアナが勝手に考えてしまいます。
しかし、薬指採血も神経科医による診察も小さいときからあるから慣れっこですけれども、今年はなんと「麻薬・アルコール中毒専門医」による診察がありました。この診察はどうも今年になって、会社が行うべき健康診断項目にロシア全国で追加されたらしいのです。
この専門医の受診は生まれてはじめてのタチアナ。なぜか笑いをこらえるのに必死でした。診察室に入るなり、「僕の目を見つめてください」と言われるし、「腕を見せてください」と注射の跡の有無を確認されるし・・・。「アルコール類は最後にいつ飲みましたか?」「二日酔いになったりしますか」「どういうお酒を飲みますか?」。「コニャック」と答えると、強いお酒は要注意みたいで「量はどれぐらい?」と先生の目つきが急に鋭くなりました。
「おととい飲みました」と答えた同僚もさっそくその理由を求められました。「誕生日だったから」と聞いて初めて先生は納得したようです。晩酌が欠かせない日本人のサラリーマンがその医者のところへ行ったらどうなるんだろう?とタチアナは勝手に心配になってしまいました。
■お酒を飲むには「理由」が必要
実は、ロシア人は、多くの(うん?)日本人とは違って晩酌の習慣はありません。ロシアでは飲むには「誕生日」など、何らかの「理由(повод)」が必要とされているのです。ま、でも、飲みたい人は飲みたいときに理由を作ればいいだけのことです。例えば、私が勉強していた大学の学生たちは「今週で最後の月曜日(火曜日、水曜日・・・)だから」と、毎晩のようにわけわからない理由を作っては楽しく飲んでいました。
…日本で体重や腹回りが測られるのは、これらの数字が生活習慣病(成人病)と深いかかわりを持っているからだと思います。こうして、日本の健康診断は生活習慣病を意識しており、ロシアの健康診断は麻薬・アルコール依存症の早期発見を目指しています。
健康診断の中身からでも、それぞれの国が問題視していることが見えてくるので、ちょっと興味深いです。
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*本記事はブログ「ロシア駐在日記」の2012年3月10日付記事を、許可を得て転載したものです。