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「南京大虐殺否定罪」、全人代に提案=「言論の自由損なう」と危惧する中国人も(凜)

2012年03月11日

■中国全人代代表が「南京大虐殺否定罪」を提案■

*本記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の2012年3月11日記事を、許可を得て転載したものです。


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『環球網』の記事「36名代表联名呼吁制定“否认南京大屠杀罪”」(全人代代表36人が連名で「南京大虐殺否定罪」制定を呼びかけ)をご紹介します。すでに日本でも時事通信共同通信が記事を配信しています。

「大虐殺否定罪」を提案 中国全人代代表、2012年3月10日
鄒建平南京芸術学院教授が「南京大虐殺否定罪」の制定を呼び掛ける提案を行ったと報じた。

河村たかし・名古屋市長の「大虐殺」否定発言を受けた提案で、江蘇省の代表36人が署名したという。

全人代で提案が取り上げられる見込みはないが、鄒教授はドイツなどが第2次世界大戦中のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)否定を違法としている例が参考になるとしている。

■環球網記事の概要

この記事は法案提案者である全国人民代表大会代表、南京芸術学院教授の鄒建平氏のインタビューを中心に構成されています。

個人的な思いつきではなく、全人代開会前に南京大虐殺記念館から打診を受け、同意したので提案した。

時が流れれば、戦争犯罪を否定する者が出てくる。そこでヨーロッパの一部では法で規制している。我々も法を通じて、正義の力を広げ、歴史事実を簡単に否定できないようにするべきだ。名古屋の河村市長のような、「中国侵略時、父親は中国人の熱い支持を受けた」とか「想像できない。だから虐殺はなかった」という論調は中国人として受け入れ難い。

日本は侵略によって中国に多大な被害をもたらした。この点を否定されては困る。従来は外交的抗議という手段しかなかったが、「南京大虐殺否定罪」が制定されれば、法で「処罰」することも可能だ。河村は日本人だが、中国に入国した時点で法の制裁を受けることとなる。かりに中国に来ることがないとしても、他国の法律を犯した者として、政治生命に影響を与えることができる。

提案という形式ならば、全人代代表1人でも可能だ。法案提出も30名の同意があれば可能となるが、今回は36人が署名してくれた。

以上、鄒教授インタビューの要旨。他にも、ヨーロッパの15カ国でこうした法律が制定されていること、ドイツでは最高5年の懲役、または罰金を科せられることなどを紹介しています。


■ネット民のアンケート

環球網では、お得意のネットアンケートが実施されています。3月11日午前9時現在で、制定に賛成が82%、反対が18%という結果です。愛国主義者が読者に多い『環球網』ですので、アンケート結果は予想通りなのですが、反対派のコメントが興味深い内容でした。

もしこの法案が成立したら、言論の自由を制限するおそれがある。
「30万人を殺した」 どこが法律だ

良い日本人はもっと多いのだから、日中がともにwinwinの関係になるには、事を荒立てるべきではない。

馬鹿げた提案。愚かな代表だ。こうした法案が通ったとして、どうやって実施するのか?日中の外交の障害となるだけだ、愛国の士を憤慨させるだけの法案ではないか。現実的にどのような効果があるというのか?


■「南京大虐殺否定罪」の世論受け

法案そのものは未見なので詳細はわかりませんが、過去の発言であっても中国に入国すれば処罰の対象となるようです。「言論の自由」に言及しているコメントがありましたが、確かに中国批判が処罰の対象となる可能性があり、外国人の中国入国が実質的に制限されることになります。

そも「否定」とは何を指すのかも問題です。中国政府公式の「死者30万人」という数字を使わなければ、否定となるのでしょうか?「実際の死者数は数万人」と唱えた研究もありますが、これも「否定」となるのでしょうか?

この法案が成立するとは到底思えませんが、世論受けは良さそうなことを考えると、意外な賛同者が出る可能性もあるのでは、とちょっと怖いものを感じています。

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*本記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の2012年3月11日記事を、許可を得て転載したものです。 転載したものです。

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