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野焼きと森林火災、「貧者の復讐」でタイ北部が史上最悪の大気汚染に(ucci-h)

2012年03月12日

■悪化が続く北タイの街のスモッグ対策に、政府も躍起だが・・・■

*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年3月6日付記事を、許可を得て転載したものです。


Burnt clearing
Burnt clearing / avlxyz

■タイ北部の煙害問題


北タイのヘイズ(煙害)問題が尾を引いている。
(関連記事:「北タイのこの季節の大気汚染の深刻度、5年前を越え危険!」チェンマイUpdate、2012年2月28日)

気象庁は2月末に雨が降るとの予報を出していたが、ちっとも雨も降らないため(今はまだ乾季です)、チェンマイはじめ北タイの主要都市のスモッグはさらに悪化している。外へ出ても、朝から空は濁っており、のどが心配になる。

北タイ出身のインラック政権も黙って見ているわけではない。国王のアドバイスもあり、「降雨・農業飛行センター」は3月1日に人口雨を招く化学薬品「フォーミュラ3」の空中散布を実行したが、乾燥のため雨雲の形成にまではいたらなかったようだ。


■山焼きと野焼き、そして森林火災

チェンマイ県庁前の「PM10」計測値は、3月1日、安全基準の120を大きく上回る201の最高値を記録した。翌2日にはタイ北部チェンラーイ県メーサイで323を記録。3日続けて300を上回る事態となった。大気汚染管理省の人間は、「3月末には良くなろう」とか、「あと2~3日で雨が来そうだから良くなろう」と、役人らしい気休めの発言を続けている。

大気汚染の主因はこの季節に行われる山焼きと野焼き。今年は、ミャンマーのタイ国境地域での山火事が状況を悪化させている。この山火事は、タイのタークにも飛び火して、3つの国立公園の500ライ(80万㎡)の面積を燃やしたと伝えられる。この時期、空気が乾燥しているので、メーソットに近いカレン族避難キャンプからも2月23日に続いて、3月4日にも火災が発生している。

今年は冷気が居座り、かつ昼間の乾燥した空気の温度上昇が急という天候状態が続いている。そのため山間地や盆地の街のスモッグが近年でも最大の数値を記録しているという。業を煮やしたインラック政権は、3月4日、「山焼きをやっている者を逮捕するように指令を出した」と発表した。地方の官憲が、昔から平気で山焼き、野焼きをやっている連中を本当に取り締まれるか疑問だが、必死になってきたことは確かだ。


■貧者の復讐

もっとも山岳部の住民たちに山焼き、野焼きが大気汚染の主因になっていることをどこまで教育宣伝できているのだろうか。

新聞の投書欄には「煙害は貧者の復讐だ」という面白いコメントが載っていた。「貧しい山の人は、燃やす以外に雑草を刈る手段がない。燃やした後雨が来れば、街で2000バーツで売れるきのこが生えてくる」という内容だった。

6日夜、チェンマイ郊外の林に囲まれた我が家に「メーン・マオ」と呼ばれる羽虫が飛来してきた。雨の訪れを告げてくれるという虫だが、いまだに雨は降らない。

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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年3月6日付記事を、許可を得て転載したものです。 

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