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2012年03月12日
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単聯全は大連市出身の作家、監督。2008年にドラマ「我的丑娘」(私の醜い母親)をヒットさせ、以来ホームドラマ路線の作品を撮り続けている。問題発言は新作ドラマ「我和丈母娘的十年“战争”」(私と義母の10年「戦争」)に関する羊城晩報のインタビューで炸裂した。
■出演料、高騰しすぎ
まず矛先が向けられたのは有名俳優の出演料が高騰している問題。2007年時点ではそれなりの役者を起用しようとすると、1シリーズあたり3万元(約39万円)が必要だったが、2010年には15万元(約195万円)に。先日はある役者を起用しようとしたら、25万元(約325万円)という値段をふっかけられたという。
2007年の「私の醜い母親」は制作費1000万元(約1億3000万円)以下だったが、2010年制作の「私と義母の10年「戦争」」は2000万元(約2億6000万円)以上が必要となった。制作費の上昇分はすべて出演料の高騰だという。
単監督のポリシーは値段が高い、「割に合わない」役者を起用しないこと。不必要な出費を避け、投資者を「稼がせたい」のだという。現在、中国では年2万話ものドラマが撮影されているが、実際に放映されるのは4000話強。8割方はお蔵入りになる状況だ。そのためドラマの投資に対するリターンは20~30%で十分優秀な状況だが、単監督は100%以上を保障するのだとか。
■暗黙のルール
中国の芸能ゴシップ記事を読む上で欠かせない単語が「潜規則」(暗黙のルール)。「役が欲しければ女優は監督と寝るのが当たり前」「女優は金持ち相手に売春している」といったルールが、芸能界には存在するといわれている。
単監督は「暗黙のルール」は確かに存在する、大金をもって女優を買いに来る金持ちがいると断言した。ある金持ちは
「女優を紹介してくれれば、ドラマに出資するよ」と 頼み込んできて、断ると「じゃあ一晩だけ。50万元(約650万円)支払うから」と申し入れてきたという。他にもかつて単監督の撮影チームに金持ちの愛人となった女優がいたと明かし、「暗黙のルール」が一般的に存在すると認めた。
■名義貸しの横行
続いて単監督の怒りの矛先は監督、脚本家の名義貸しに向かった。まじめに作品作りに取り組めば、量産などできるはずがないのに、中国には年7~8本のドラマを撮影する監督もいる。実はその多くは名前だけ貸しているだけで、一度も撮影現場に足を運ばない人もいるのだとか。
同様に脚本家にも名義貸しが横行している。実際には複数人からなるサポートチームが分担して脚本を書いている。そのためどの脚本もどっかで見たことがあるようなものばかりになってしまう。単監督自身も名義を貸して欲しいとお誘いを受けたことがあるという。
中国当局はドラマ途中のCM挿入禁止、特定ジャンルの禁止など、番組品質向上のための規制を次々導入しているが、見当外れもいいところと単監督。一人の監督が撮影できるドラマは年2本まで、脚本家も年2本まで、役者も年3本以上のドラマ出演は認めないといった規制ならば、みんなまじめに作品作りに取り組むはずと提言している。
■話題作り
最後にとりあげられたのが話題作りの問題。中国のゴシップニュースの多くはでっちあげられたものだという。無数の広告会社がその裏で暗躍している。単監督も「若い女性と交際、結婚しての話題作りはいかがでしょう?」と広告会社に話をもちけられたことがあるという。先日、俳優の印小天が女優を殴ったという芸能ニュースが流れたが、単監督はこれも話題作りだと断言している。
ネット時代に突入してから、中国ではあらゆるものが「炒作」(話題作り、誇大宣伝)の対象となっているが、中でも芸能界はその最先端に位置するのかも知れない。とはいえ、この単監督の暴露発言そのものが話題作りにほかならないようにも思えるのだが。
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