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【王立軍事件】「重慶市は反省せよ」温家宝首相が薄熙来を批判―中国

2012年03月15日

■温家宝の薄熙来批判■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年3月14日付記事を許可を得て転載したものです。


Wen Jiabao - World Economic Forum Annual Meeting Davos 2009
Wen Jiabao - World Economic Forum Annual Meeting Davos 2009 / World Economic Forum



■王立軍事件とは


中国を支配する9人の老人たち、それが中国共産党中央政治局常務委員。今秋の18大(中国共産党第18回全国代表大会)で交代するわけですが、その有力候補の一人・薄熙来をめぐって今冬、大きな動きがありました。

腹心の部下であった「打黒英雄」王立軍が公安局長の座から外されたかと思うと、成都市の米領事館に逃げ込むという大事件が発生。重慶市からは追手の警察車両が大挙襲来し、領事館を包囲するという騒ぎに。「細かすぎて伝わらない王立軍事件ウォッチブログ」と呼ばれている(?)「中国という隣人」が最新情報を伝えています。

■シリーズ:「打黒英雄」の失脚と薄熙来の危機
解任の「打黒英雄」が米領事館に逃亡?謎の「休暇式治療」発表で祭りに(水彩画)
カナダ首相と会見も……新華社に存在を消された薄熙来(水彩画)
解任の「打黒英雄」が米領事館に逃亡?謎の「休暇式治療」発表で祭りに(水彩画)
薄熙来失脚を狙う罠、黒幕は江沢民の政敵か?体制外メディアが報じる中国の政争(水彩画)
公安業務から解任された「重慶マフィア摘発の英雄」=「汚職で逮捕」との報道も―中国(水彩画)
「打黒英雄」の失脚は子飼いの部下を潰された賀国強の報復か―中国(水彩画)
「薄熙来は中国最大の偽君主」失脚した部下の公開書簡=重慶市トップ交代の観測も(水彩画)
重慶市長が装甲車を引き連れ殴り込み、団派の人事攻勢……王立軍事件の「謎」を考える(水彩画)
王立軍事件の行方=薄熙来は無傷で済むのか、重慶市政法会議を欠席(水彩画)
【王立軍事件】薄熙来が辞表提出との噂=後任人事情報も飛び交う(水彩画)
【王立軍事件】薄熙来の独立王国・重慶市に湖南省武装警察が「進駐」―中国(水彩画)
【王立軍事件】王代表、全人代に「休暇願」=海外メディアの「荒唐無稽」な報道(水彩画)
【王立軍事件】「フォトショップで作った捏造画像だ!」重慶市市長、報道官がコメント(水彩画)


■温家宝が王立軍事件に言及

14日、全人代最終日恒例となっている総理記者会見が開かれました。様々な質問が来年で退任となる温家宝に浴びせかけられたのですが、ロイターの記者が王立軍事件について質問。常務委員クラスでは初となります。

温家宝国務院総理、国内外記者と会見 2012年全国両会(新華社2012/3/14)

【ロイター記者】
2つ目の質問は、皆さんが非常に関心のある、重慶市で起きたいわゆる「王立軍事件」についてです。
王立軍は米国領事館に入った後、中央の関連部門が調査中です。あなたご自身はどのようにこの事件を考えますか。あなたはこの事件が中央政府の重慶市政府と市委指導部に対する信頼に影響しますか?

【温家宝】
王立軍事件の発生後、社会の高い関心を集め、国際社会も非常に注目した。中央は非常に重視しており、すぐさま関連部門が専門の調査を進めていることをお伝えする。現在調査は進展を見せており、我々は事実に基き、法律に沿って、厳しく法に従って処理する。調査と処理の結果はかならず人民に答え、法律と歴史の審判を受けるものとする。

数年来、重慶市の歴代政府と多数の人民は改革建設事業に大きな努力をして、はっきりとした成果を得てきた。しかし、現任の重慶市委と政府は反省し、王立軍事件から真剣に教訓を学び取るべきだ

建国以来、党と政府の指導の下、我が国の近代化建設事業は大きな成果を得た。ただ、我々の歩んだ道は回り道も教訓もあった。第11期三中全会、特に若干の歴史問題に関する決議の正しい処理を行って以来、解放思想を確立し、実事求是の思想路線と党の基本路線を確立し、改革開放の決定という中国の命運と前途に対し重大な選択を行った。

歴史は我々に教えてくれる。人民の利益に沿う全ての実践は、全て歴史の経験から真剣に教訓を学ばなければならない。また歴史と実践の試練を受けなければならない。この道理は全国人民全員がわかっている。だから、我々は未来に確信がもてるのだ。


■最強レベルの批判

これが結果的に最後の質問となりました。この後、「もう3時間だけど終わっていい?」とお茶目さを発揮した温家宝。ですが回答はきわめて重い内容となりました。

「現役の重慶トップ」と表現しながらも、汪洋や賀国強ら前任者らをはっきりと分け、名指ししたも同然の薄熙来批判であります。薄熙来だけでなくその取り巻きも反省せいとのお言葉となります。特に、文革を全否定した第11期三中全会の歴史決議を取り上げ、薄熙来の進めてきた唱紅路線は党中央に背いていると言わんばかり。

本来なら「建国以来の若干の歴史問題に関する決議」であるところ、「正確な処理」と付け足したのは、文革を否定したのは正しい選択であり、薄熙来路線は誤りであると強調するためでしょう。

今回の記者会見でも「『文革』の過ちと封建の影響は完全に消し去られたわけではない」とも話しています。が、温家宝はかつて「文革の残滓がいる」と薄熙来を批判しました。今回は党中央と路線対立していると批判レベルも最強に上がっています。王立軍の処理がどの程度になるのか、どういう理由になるのかはまだわからないのですが、「党中央に背いた」薄熙来の前途が明るいとは到底思えません。

■シリーズ:「打黒英雄」の失脚と薄熙来の危機
解任の「打黒英雄」が米領事館に逃亡?謎の「休暇式治療」発表で祭りに(水彩画)
カナダ首相と会見も……新華社に存在を消された薄熙来(水彩画)
解任の「打黒英雄」が米領事館に逃亡?謎の「休暇式治療」発表で祭りに(水彩画)
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【王立軍事件】「フォトショップで作った捏造画像だ!」重慶市市長、報道官がコメント(水彩画) 

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年3月14日付記事を許可を得て転載したものです。
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