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【薄熙来失脚】「共産党中央に服従を誓う」独立王国・重慶が完全降伏(水彩画)

2012年03月18日

■黄奇帆は無傷なのか■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年3月18日付記事を許可を得て転載したものです。


Chongqing Hot Pot
Chongqing Hot Pot / sanfamedia.com

■王立軍事件とは


中国を支配する9人の老人たち、それが中国共産党中央政治局常務委員。今秋の18大(中国共産党第18回全国代表大会)で交代するわけですが、その有力候補の一人・薄熙来をめぐって今冬、大きな動きがありました。

腹心の部下であった「打黒英雄」王立軍が公安局長の座から外されたかと思うと、成都市の米領事館に逃げ込むという大事件が発生。重慶市からは追手の警察車両が大挙襲来し、領事館を包囲するという騒ぎに。両会明けの3月15日にはついに薄煕来・重慶市委書記が更迭される事態へと発展しました。

「細かすぎて伝わらない王立軍事件ウォッチブログ」こと、「中国という隣人」が最新情報を伝えています。

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■重慶市、全力で中央政府への服従を表明

2012年3月15日、重慶市は指導者幹部会議を開催。薄煕来・重慶市委書記の更迭(職務調整という表現でしたが)と張徳江副首相の就任を発表しました。

その後、重慶市共産党委員会の機関紙・重慶日報は連日、「党中央への恭順」が確認された様子を報じています。

●市政府第63回市長弁公会議(黄奇帆市長)
真剣に中央の決定を実行し、5項目の工作を着実に行おう

●市人大常委党組織会議、(陳存根・市人大常務委主任)
中央の決定を断固擁護し、中央と完全一致し続けよう

●市政協党組織拡大会議、機関幹部会議(元敏政協会議主席)
思想と行動を中央の決定と統一させよう

市政府、市人民代表大会、市政治協商会議という重慶市主要3部門はそろって、中央の決定を全力で支持するとの表明。17日など土曜版で4面しかないのに、1面に加えて2面でも「中央の決定を断固擁護し重慶科学発展を進めよう」「党中央の声は鎮痛剤」という記事を掲載。全紙面の半分を「党中央への服従」表明に割かれています。

恐ろしいのが解任された薄熙来について全く触れられていないこと。まるで存在を抹消されたかのようです。他のの主要紙である重慶晩報、重慶時報も「服従モード」で紙面を塗り貯めています。


■薄熙来と黄奇帆の運命

さて、薄熙来更迭という大きな節目を迎えた王立軍事件ですが、今後の注目は薄熙来が処罰されるか、そして重慶市ナンバー2である黄奇帆がどう処遇されるのかという点でしょう。

黄市長は米領事館に突撃するなど王立軍事件に少なからず関わりを持っています。また薄熙来の看板政策である「唱紅打黒」(革命歌振興・マフィア及び汚職官僚撲滅)の担い手であるばかりか、つい先日はメディアの単独インタビューに答え、薄熙来を擁護しています。彼が何事もなかったかのように「中央の重慶市党委主要指導の調整を擁護」し、「張徳江同志をの工作を全力で支持」しているのは不思議でなりません。

薄熙来はまだ「職務調整」されて重慶市トップの座を追われただけで、中央政治局中央委員の地位は保っています。今後、汚職などの罪を問われ中央委員のポストまで失うのかが注目です。

ただ、まだ処分は決まっていないとはいえ、李源潮・中央組織部長が重慶の指導部調整は「王立軍事件が作り出した深刻な政治的影響を鑑みたもの」と明言。王立軍事件は「性質は酷いもので、影響は悪劣」とすでに政治的定性(評価)を下したことから考えて、薄熙来も監督責任を問われてしかるべき処分を受けるのではないでしょうか。両会閉幕後も北京にとどまっているところを見ると、中央の審査を受けていると推察されます。となれば、薄熙来と一蓮托生の黄奇帆が無傷というのは考えにくいのです。薄熙来失脚が固まれば、黄奇帆の運命も自然と決まっていくでしょう。

もっともトップが「落馬」してもナンバー2が政治生命を保ったケースはあります。2006年、陳良宇・上海市委書記失脚事件における韓正市長がそれです。韓市長は陳の黒さを知っていたはずですし、失脚の理由となった社会保障基金流用についても少なからず関わっていたはずです。黄市長と似た状況なのですが、今も元気に上海市長を続けています。


■ポスト黄奇帆に意外な名前が?!

黄が退任するとなれば、その後任人事も気になるわけですが、意外な人物の名前があがっています。

それが孟学農。北京市長、山西省省長のポストを得ながら、いずれも解任された悲運(?)の人。現在は今は中央直属機関工作委員会副書記というポストで悶々としています。9年前はまだ54歳で、北京市長として政治局委員を狙える位置にいたものの、SARS引責で退き、その後は山西省長に返り咲いたものの、今度は炭鉱事故の責任を負わされてまたも冷や飯を食わされるハメに。

3月12日、全人代北京代表団の会議で、官僚の「浮つき」が議題となった時、「3年間現職にいながらも昇進できない官僚は落ち着かない」と発言(証券時報)。現在63歳と閣僚級の定年を目前に迎えているだけに、重慶市長就任でまさかの返り咲きというフラグなのか、との声も。政治局入りして定年を5年延命してもらえる可能性があるかもという話までささやかれています。まあ、しょせんは与太話の部類ですが。

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