2012年3月20日、羊城晩報は記事「
クレイジーな『霊的修行』、クレイジーな金儲け」を掲載した。ストレスに苦しんでいる高級ホワイトカラーを対象に、性的な内容を含むセミナーを開講するビジネスが人気だという。
Stone Forest (China) - Nazareth College, Rochester, NY / NazarethCollege
■タントラ研修が人気に
今、中国の主要都市で「身心霊」(体・心・魂)ブームが起きている。 身心霊セミナーが無数に開講されているが、入会費数十万元もする高額なものも少なくない。関連グッズや書籍も人気だ。
そうしたセミナーの一つが深圳尼奥心視界コンサルティング顧問有限公司が主催するタントラ研修。ヨガのようなものと説明されているが、性的要素が多いのが特徴だ。導師の泰銘遠氏は、結婚に縛られない性的自由や受講生同士での夫と妻を交換するスワッピングこそ女性解放の道だと説く。今年2月に広東省で開催されたセミナーでは、受講生全員が全裸で泳ぐ研修があった。その際、「上級クラスに進めば、セックスをする必要も生じる」との発言もあったという。
ネットに書き込まれた参加者の感想を読むと、「まるでアダルト小説のよう」と羊城晩報。
今日の研修内容は性的マッサージとタントラの呼吸でした。パートナーの手が私の体をなでまわし、そして秘部へと到達すると、私は完全に解放されたことを感じました。
今日の研修は一人が蛇のように床をはい、もう一人がそれに合わせて嬌声を上げるというものでした。
といった内容。泰導師は「緊密、安全、リラックスした雰囲気の中で、受講者の皆さんはパートナーとの協力、信頼を得て、性に対する恐怖、罪悪感、羞恥心を取り除くのです」「性を経て、性を声、宇宙的オーガズムに達する」とお話しされたとのこと。
ちなみに羊城晩報によると、中国で開講されているタントラセミナーはほとんどがインドの神秘思想家OSHOこと、バグワン・シュリ・ラジニーシの弟子筋、あるいはOSHOコミューンで修行したと名乗っているという(ウィキペディア「
バグワン・シュリ・ラジニーシ」)。
性的内容、そして邪教にはなにかと厳しい中国政府。羊城晩報報道の翌21日、広東省恵州市警察は早速セミナー開催中のタントラ研修を摘発。関係者30人を拘束した。日本だと逮捕状の請求には罪状が必要なわけだが、「マスコミが大きく取り上げたから仕事しよう」と動く中国の警察がどんな罪状で摘発、逮捕に踏み切ったかは不明。
■都市生活のストレスここ数年、中国でよく話題となるのが白領
(ホワイトカラーの訳語だが、語義的には一定以上の待遇を受けている好待遇のサラリーマン)のストレス。「解圧」(ストレス発散)という言葉もすっかり定着した。大人数で集まっての枕投げ大会(
レコードチャイナ)、お皿割り放題のストレス発散部屋(
レコードチャイナ)などのオモシロ・ストレス発散ネタもちょくちょくマスコミのネタとなる。
「都市生活は忙しい、サラリーマンは辛いよ」と言われても、日本人的には何をいまさらという感じでもあるが、今後もこうしたストレス発散需要は拡大するのではなかろうか。ネットで参加者を募るキャンプサークルといったものもあれば、今回のタントラ研修のようなお上の怒りに触れるようなものまで、そのネタはさまざま。
ここはストレス先進国・日本としてその智慧を輸出するチャンスかもしれない……と思いつつも、売れそうな日本のストレス発散法が思いつかなかったり。私が知らないだけかもしれないが、最近日本では「サラリーマンは大変だ」商法が流行っていないのだろうか。
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