中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年03月24日
Sale of fake (paper) clothes, shoes, watches for ancestor veneration (Joss paper) / Jorge Lascar
*中国の供養には欠かせない「紙の服」。燃やして冥界の死者に届ける。
■葬儀屋のボッタクリ問題
「葬儀定額制とはなんぞね?!」と不思議に思われる人もいるかもしれませんが、近年、中国では葬儀関連費用にちょっとした注目が。お墓がバカ高過ぎるという問題もあって、樹葬や海洋散骨を政府が推進している……という問題が一つ。
そして「葬儀屋ぼったくりすぎ!」という問題がもう一つ。まあこの辺りは日本でも共通しているかもしれませんが。生前から葬儀屋を選んでいるのならばともかく、お亡くなりになった直後のばたばたでは価格やら評判をあれこれ比較しろと言っても無理なもの。
昨年には「火葬場で販売されているぼったくり骨壺事件」という謎の事件も起きています。江蘇省呉江市の火葬場の話ですが、2500元(約3万2500円)もする高級骨壺を使用するよう遺族に強制していたとのこと。で、「高すぎるからマイ骨壺を持ち込むよ」と言った市民をぼこぼこにするというわけわからない事件も起きています。
■葬儀サービス定額制
高額な葬儀費用による「死不起」(死ねないッス)問題が注目を集めるなか、民草に優しいことでおなじみの中国政府は、「葬儀サービス料金管理問題のさらなる強化に関する指導意見」を発表。各地域ごとにコストを調査した上で、財政支出も検討し、非営利原則に基づいて葬儀サービスの指導価格を策定するとのこと。
遺体の運送費、保管、火葬、骨拾いなどなど、通常の葬儀に必要なサービスについては詳細な価格表が用意されるという話で、ま、実質的な定額制ですね。なお遺体の化粧直し、防腐処置などは基本サービスには含まれないので自由価格だとか。映画「おくりびと」で中国でも話題となった納棺師は今後もボッタクリ放題(?)ということでしょうか。なお公共墓地についても定価制を導入する方針を示しています。
民草に優しいのはいいことなのですが、改革開放以来、激しく民営化を進めてきたのになんだか逆転しているようにも見えますが……。日本という「葬儀サービス=民間」の国に住んでいる人間からすると、そこまでする必要があるのかちょっと疑問です。いや、それとも日本も見習って葬儀サービス定額制を導入するべきなのかな。
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