• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

日本人が三国志「だけ」を好きなのはなんでよ?!中国人オタクの議論(百元)

2012年03月25日

■中国オタク「三国志だけが日本で人気になる理由を考えてみた」■

*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年3月13日付記事を、許可を得て転載したものです。


張飛廟/Zhang Fei Temple/张飞庙
張飛廟/Zhang Fei Temple/张飞庙 / kanegen

今回は思い出したころにやってみる三国志ネタというので一つやらせていただきます。

日本における三国志の人気に関して中国では「なぜ三国志だけがあそこまで突出した人気なのか」というのは不思議に思われているそうです。先日、中国のソッチ系の掲示板で日本の三国志人気に関してイロイロな意見が出ているのを見かけましたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

日本では春秋戦国時代とかが全く人気ないのに、三国志だけが突出した人気なのが納得できなくて、三国志だけが日本で人気になる理由を考えてみた。とりあえず思いついたのは、日本では複雑な謀略がウケないからってことなんだがどうだろうか?

三国志の人気は不思議だよね。コーエーとかあれで何年飯食ってるんだろう。私としては三国志の場合は歴史を題材にした名著があるからああいう人気になったんじゃないかと思うが。

三国演義の影響だけであそこまで突出した扱いになるもんだろうか?他の時代や名著が日本で三国志ほどの人気を得たなんて聞いたこと無いぞ。

個人的には吉川英治の三国志の存在が大きいと思う。

案外、日本の歴史には同じ名前の時代が存在するからだったりして。南北朝や戦国は日本の歴史にあるが「三国」は存在しない。イメージとして、「日本の」戦国や南北朝が先に出てしまって、中国のその時代が認識されないんじゃないだろうか。冗談のつもりだったが、なんかこの説もアリな気がしてきた……

戦国策とかには白話版が無かったからじゃない?(訳注:「白話」は中国語の口語です。「三国演義」は白話小説になります)

他のは時代が長すぎるからじゃないか?時代が幅広い年代にわたっているし、有名人も同時期に活動しているわけではない。

後漢の光武帝とか、立身出世としても良いしキャラも多いから結構いけると思うんだが、なぜ日本では全く人気にならないのだろうか?

それなんだが、日本人は悲劇を好むという傾向が強いらしい。それと英雄が地位も金も美女も全てを手にして幸福な一生を送るというのも好まれないそうだ。だから劉備たちが死に、諸葛亮も死ぬ三国志が日本人にウケているんじゃないかな。

悲劇が好きなら水滸伝はなんでダメなんだ?あれも最後の方は好漢がバタバタ死ぬぞ。

この件に関しては戦国というのが理解する上でカギになるんじゃないか?ウチの国にも日本にも戦国時代はあるし、その違いが好みの違いに影響するのでは。

三国志が日本で人気になって様々な作品に影響を与えているのは、勢力の均衡した時代が長く存在するからじゃないかな。各勢力が強くなって最終的に天下三分の状態になるというのがウケているようだし、その過程のストーリーが影響を与えているんじゃないかと。

中国と日本では「乱世」という言葉のイメージが違うことになっていて、それが影響しているんだと思う。日本では乱世=日本の戦国時代のようなイメージで、それに近いのが三国志。それ以外のウチの国の乱世の多くはかなりトンデモナイことになるわ範囲も広いわで日本人のイメージに合わないんじゃないかね。

日本人は中華の英雄故事が好きなだけで、一般の日本人が中国の文明を理解しているわけではない。三国志以外は彼らにとって難しすぎるんだろ。

策謀や外交というのが分かり難いからじゃないかね。縦横家とか私は非常に面白い職業だと思っているが、日本では全く理解されていない。

やはり他の歴史時代ネタに関しては時間軸が長過ぎるからじゃないかな。中国の歴史を考えた場合、三国志に勝るとも劣らない有名で面白い故事は多いけど、三国時代のような群雄が集結していることは無い。他の時代の英傑に関してはスーパー中華英雄大戦にでもするか、サーヴァントで召喚するかでもしないかと。

考えてみればゲームにした場合は水滸伝ですらも梁山泊の好漢以外のキャラが不足気味に感じるからなぁ。むしろ、三国志が特殊と考えるべきなのか。

確かに春秋戦国時代とか長いし、有名な人物も集中していないな。故事に関しても面白いがそれぞれ独立した内容で、主要人物数名の短い場面で終わることが多い。一貫したストーリーとして理解され、人気が出るのは難しいかもしれん……

もうちょっと中国の有名人が日本で知られていてもいいとは思うんだが、三国志と関係していないと全くダメっぽいのがなんとも。伊達政宗を知っているなら、李克用くらい知っておいてくれよ……
「東周列国志」とかなぜ人気にならないのか。

戦国の七雄での秦と六国の関係とか、絶対に面白いし演劇性も高くて面白いと思うんだけどね。三国志とあんなに人気の差が出ているのは本当に不思議だ。

一応、日本でもその辺りの時代の作品が無いわけじゃないみたいだよ。「キングダム」は李信が主人公だし。あと漢楚の辺りに関してもそこそこ作品はあるようで、項羽の人気が高いらしい。
結局は三国以外の時代には「通俗演義」が存在しないからじゃないかな。通俗演義という叩き台があれば、日本の方で日本人好みのアレンジが加えられるんだろう。てかうまく魔改造してくれるような気がする。

ドラゴンボールなんか見ると日本のアレンジにはちょっと期待したくなるよね。基本的には背景などの知識がうまく伝わっていないってことなのかな。まぁ、ウチの国でも武霊王って誰と聞かれて答えられる人間がどれくらいいるか分からんしな……一応胡服騎射の故事は教科書に載っていたと思うが……

とまぁ、こんな感じで。


三国志の魅力

やはりこういうことまで考えるのはディープな所に行っている人間なようで、イロイロな考察が出ていました。

それにしても、上の発言にもある「有名な人物が同じ時代にいない」っていうのは結構大きいような気もしますね。三国志の魅力に関しては、魅力的な武将たちのドラマという面も無視できませんし。それから三国志ほどではないとは言え、日本では春秋から漢楚の辺りも中国史の中では比較的人気が高いということについては、あんまり知られていないようです。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

関連記事:
海外で噂の「趙雲女性説」に対する反応=「カップリングが成立しない!」―中国オタ事情
中国人オタク、奇才・諸星大二郎を語る=「中国文化の深い理解に敬服」―中国オタ事情
中国人オタク、奇才・諸星大二郎を語る=「中国文化の深い理解に敬服」―中国オタ事情
「なんで家康が主人公のゲームって無いの?」中国人オタクたちの素朴な疑問―中国オタ事情
アジア最大級のアニメイベント、香港の「Ani-com」に行ってきた―北京文芸日記

*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年3月13日付記事を、許可を得て転載したものです。

コメント欄を開く

ページのトップへ