中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年03月30日
■清明節とは
清明節は24節気の一つ。例年4月初頭に迎える。天候がいいことからピクニックを楽しむ人も多いが、伝統としては墓参り、墓掃除の風習がある。
日本同様、食べ物もお供えするが、中国独特なのが紙銭、紙衣などの紙で作ったお供え物だ。燃やすと冥界に送り届けられるという仕組み。人間界から冥界への仕送りとでもいうべきか。お金や衣料品だけではなく、家や馬蹄銀などのバリエーションもあったが、近年ではさらに過激に新製品が続々登場。毎年、「紙ノーパソがでた!」「紙洗濯機すげぇ!」「紙麻雀牌かー。いや、冥界もヒマかもしれないし、必要だよね」とメディアのいいネタとなっている。
というわけで、2012年の清明節商戦事情をのぞいてみよう。
■紙ランボルギーニ
ちょっと話題になっていたのがこちらの「紙ランボルギーニ」。ロゴやナンバー、ホイールの内部まで細かい細工がすばらしい。全長は45センチとのこと。この車をもらった死者の方は冥界でナンパし放題ではなかろうか。お値段は3888元(5万500円)とかなり高い。
「紙ランボルギーニ」を販売しているのは、心伝愛というネットショップ。車のほかにも定番となった「紙iPhone」「紙iPad」も販売。さらにギターやドラムセット、別荘なんかも販売している。iPhoneは、イヤホン、充電器、充電ケーブルも付属しているのだとか。
ちなみにネットショップの写真は「実物を撮影したもの」と言い張っているが、本当にこれだけのクオリティがあるのだろうか……。
ちなみにネットショップの販売件数を見ると、ほとんど売れていないもよう。iPhoneが1件だけ売れていただけで、紙ランボルギーニは販売件数ゼロだった。話題にはするけど買うほどではないということだろうか。
■冥界のインフレ
話題になるのは「紙ランボルギーニ」や「紙iPad」だろうが、実際によく売れるのは定番の紙銭だろう。だがこちらにも異変があるのだとか。それは紙銭のインフレ。「9800億元札」(約12兆7000億円)などとんでもない額面の紙銭が売られているという。
まあ「地獄の沙汰も金次第」、お金は多いにこしたことはないだろうが、これだけの資金が流入するとなると、冥界のインフレは必須だろう。冥界金融当局の対策が注目される。
■人間界のインフレ
おそらく広東省の習慣と思われるが、お供え用の子ブタの丸焼き価格が高騰。1頭あたり200元(約2600円)以上するのだとか(広州日報)。人間界もインフレの時代である。
というわけで、お値段10分の1とコストパフォーマンスにすぐれた「斋乳猪」が人気だという。「斋乳猪」とはいわゆる素食(精進料理)で、大豆タンパクなどで子ブタの形に作り上げたもの。20元(約260円)程度で購入できる。金や車やiPhoneやらはゴージャスに送られてくるのに、食べ物は精進料理になってしまった。冥界の皆様、ごめんなさい。
■墓掃除代行業
紙のお供え物以外で話題となっていたのが「墓掃除代理ビジネス」だ(人民網)。お墓は郊外にあるケースも多いし、故郷から離れて働いている人もいるので便利なサービスではある。が、話題となったのは天津の代行業者の値段表だ。
墓掃除:3000元(約3万9000円)
外地で墓掃除は料金応相談
お悼みの言葉:50元(約650円)
頭を下げる:100元(約1300円)
号泣して死者を悼む:10分300元(約3900円)