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ひょっとして日本語覚えても就職に使えなくない?中国人オタクの憂鬱(百元)

2012年03月31日

■中国オタク「日本語ってどれくらい役に立つ言葉なんだろうか?」■

*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年3月24日付記事を、許可を得て転載したものです。



Japanese books
Japanese books / br1dotcom

■日本語って役に立つの?


先日ありがたいことに「日本語学習について中国ではどう思われているのか?」という質問をいただきましたので、今回はこれについて一つやらせていただきます。

日本語を学ぼうとする中国オタクはかなりいますが、それが実利面でどうかと言われるとちょっと不安になってしまったりもするようです。中国のソッチ系の掲示板ではそういった「日本語がどれくらい役に立つのか」ということに関するやり取りが行われていましたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの不安

日本語ってどれくらい役に立つ言葉なんだろうか?就職とかを考えると、なんかいろいろ不安になって来て……

お前、オタクやっててそういうこと言うか。まぁ就職とかに関してだと相対的な価値は昔に比べて間違いなく下がっているな。留学のツールとしてとか、趣味での活用を考えているとかじゃなければ、英語ではなく日本語を学ぶというメリットはないかも。

中国国内での日本語能力試験の動きを見た感じ、それなりに使えるものとして扱っても良いんじゃないかね。あとアウトソーシングの仕事増えてるし、別に使えないわけじゃないよ。

就職に関しては昔ほど日本企業が元気なわけじゃないし、外資系企業への就職だと英語の方が良いんじゃない。あと、最近高給取りで人材不足なのは一定レベル以上の技術系の人材でそれ以下は余ってる状態。だから、職歴をつけてキャリアアップするための最初の一歩として日本語はあまり使えるスキルじゃないってのはあるな。

社会的なイメージも変わったからねぇ。「大学or専門学校で日本語勉強してます」で親も含めてそこら中から「スゴイ」と言われる時代ではなくなった。ただこれは日本語に限らない話で、そもそも外語系のスキルの価値が相対的に落ちてるし、通訳を目指しているとかでもない限り外国語の習得だけで就職を考えるのはキツイな。

日本の留学考えた場合も良い大学や院に行くならTOEFL必要になってくるし、授業も英語だったりするから、結局は英語能力が必須なんだよね。専門課程に関しても、経済学とかなら「なんでアメリカ行かないの」とか言われるし、プログラミングやゲーム関係でも最近の日本は携帯電話のゲームばかりだからイロイロとキツイ。

日本語覚えといて損は無いんじゃない?通訳や翻訳系の仕事ってまだかなりあるぞ。文章の方に関してもネット翻訳とかじゃ正確に訳せないし安定しないし長文だと訳が分からなくなるしで、まだまだ需要は続くだろう。

でもなぁ……実際の話、仕事だと英語の方が使う場面多いぞ。俺は一応日本語もできるけど、仕事で使うのは英語がメイン。しかも日本人と一緒に仕事したときでも、日本語と中国語ができるのは自分だけで、その場にいる中国人と日本人全員が分かるのが英語だったから結局カタコトの英語と筆談でやる方が効率よくできるってことで日本語の出番は無かった……

あー、そういうのあるな。私も仕事先で使うのは英語の方が多い。日本語関係で上司にやれと言われたのは通訳ではなく「日本語が分からないフリをして、相手側の日本語の密談聞き取れ」だった。まぁ、結局は日本側は非常に正直な態度だったから密談とか何もやって無かったんだが。

自分のキャリア重視で、特に日本関係の興味が無ければ欧米系の言語の方が良いんじゃないか。
日本語は英語に比べると汎用性は間違いなく落ちるからね。てか就職なんかに関しても日本語スキルだけで決まるような状況ではない。ただその辺に関しては英語なんかは昔からそうだし、そこまで悲観することも無いんじゃないかね。

こっちでは日本人の英語教育がダメとか言われているけど、仕事で会うような日本人ってたいていそれなりの英語ができるから交流自体は特に問題ないんだよね。それにビジネスになるとプロの通訳や翻訳を入れたりするし、実用的な面から考えるとそこまで必要ではないのは確か。もちろん、外国語学科で専門に学ぶようなレベルなら役に立たないわけではないだろうけど。

でも、日本語って漢字のおかげで初級レベルの習得はわりと簡単なのがいいよ。字幕見ないでアニメが分かるレベルになるのは結構キツイが、ある程度のレベルになれば日本語の関連資料や日本語のサイトを直接読めるようになるからスゲェ役に立つぞ。

アニメや漫画が自分の精神的な支えになっているんで、自分にとって日本語は非常に有用なものだな。他人にとってどうなのかは知らんが。

学習のモチベーションは間違いなく日本語の方が高いわ。趣味で使うから、いつの間にか第二外国語でとった日本語が自分の一番得意な外国語になってる。

日本語学科に落ちた私としては、そういう悩みを考えられること自体がウラヤマシイ。

他の言語ができて損は無い。言語だけで食っていくのが難しいだけ。ここ数年で機械翻訳のレベルが格段に上昇したし、ネットの発達で特殊な語彙や参考になる関連例文の検索がすごい簡単になったから、言語関係のスキルってかなり価値が下がっている。就職関係で考えるなら、覚える言葉の種類よりも覚える言葉と何を組み合わせるかを考える方が有用だぞ。

日本語って趣味の面では最強に近いんだけどね。上達すればアニメ見る以外にも日本語の原著とか読めるし。ま、覚えたければ覚えるという感じでいいんじゃない?

スキルとしてなら英語だろうけど、第二外国語で日本語取るのは別に邪魔にならんよ。てか外国語の勉強していると、なんで自分の母国語が中国語なんだとこんがらがった憤りを感じてしまうことがあるわ。外国人からすれば中国語もかなりややこしいという話だが。

言葉に関してはできないよりもできた方が良いのは間違いない。てか外国語能力だけで食っていくつもりじゃなければ、英語も日本語も両方学んどけばいいんじゃない?俺も日本語学んで1級とったのは大学に入って余裕が出来てからだし。

現在日本語学科で学んでいる人間としては、現在の就職市場の状況では今後日本語に関係した仕事につけるとは思えないので憂鬱になるよ。趣味に関しては毎日恩恵にあずかっているので損したとまでは思わんが……

とりあえず進学や就職で必須なのは英語、オタク関係の趣味の方で有用なのは日本語って所かね。

とまぁ、こんな感じで。


■日本語習得、その動機の変化

日本語に関しては就職面でのことを考えたらちょっと悩んでしまうのと同時に、趣味の方に直結した分野での価値を感じているようでした。このブログでも何度かネタにしていますが、中国における日本語習得のモチベーションは昔とかなり違うことになっていますし、日本語教育の現場もかなり変化しています。

中国で日本語を学ぶ学生が、日本語教育や日本語教師に対して求めるものもかなり変わってきているそうですし、「日本人の知らない日本語」でネタになっているようなことなんかも、中国オタクにとっては結構身近な「あるあるネタ」として実感できるのだとか。



それにしてもこういったやりとりを見ると、ここ十数年で日本語学習の動機も随分と変わったもんだと改めて実感してしまいますね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年3月24日付記事を、許可を得て転載したものです。  

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