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スマートテレビ時代の覇者を目指して=「正規版権と高画質」の動画配信サイト・楽視網―中国

2012年03月31日

2012年3月、中国動画配信サイト最大手・優酷網と同2位の土豆網の電撃合併が話題となった。しかしネット動画配信の覇権を争う戦いはまだ続いている。今回は新たな注目プレイヤーである楽視網を取り上げたい。


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土豆網、テレビ東京特設ページ
  

楽視網は2004年11月創業の動画配信サイト。2010年8月に中国ベンチャーボードに上場。中国動画配信サイト業界で最も早く上場を果たした企業となった。2011年にはユーザー滞在時間が月17.9%という高成長を示し、ネット調査企業iResearchが選ぶ2011年10大ホットサイトに選出された(iResearch)。

楽視網の特徴は積極的にネット放映権を買いあさっていること。2011年には版権購入に7億9000万元(約103億円)を投じた。すでに映画4000本以上、ドラマ7万話以上の版権を取得している。2012年、2013年放映予定のドラマも過半数の版権を押さえているという。「正規版権取得作品を高画質で提供」がうたい文句だが、版権取得は主に中国国内の作品に集中しているようで、日本のドラマやアニメは平気で「高画質」海賊版を流しているのがなんとも言えないところではある。

さらに取得した版権を自社サイトで放映するだけではなく、他の動画配信サイトに提供しているという面白いビジネスモデルを展開している。中国中央電視台、網易、土豆網などが提携先だ。またニュースサイトやSNSに対して動画配信のシステムを提供するというビジネスも展開しているほか、一部映画作品の有料放送も実施している。先日の発表会では有料会員数が70万人を突破したことが明らかにされた。

動画配信サイトと一口にいっても、Youtubeコピーサイト、Huluタイプの無料・有料結合モデル、ネットフリックス・タイプ、さらに中国独自のPPTVのようなP2P型動画配信モデルとさまざまなバリエーションが生まれている。土豆、優酷のYoutubeコピーサイトも新たな形式にチャレンジしているが、後発サイトのほうがより明確に新たなビジネスモデルを意識している傾向が強い。

中でも楽視網はスマートテレビの普及も見すえ、ネットでの動画配信が主流になる時代を見すえて「ネット版権の先物買い」を積極的に進めているという点で興味深い存在だ。

もっとも未来の覇権を目指して版権に投資を続けるのはいばらの道。3月21日付第一財経日報では「キャッシュ不足が深刻」と書き立てられてしまった。また楽視網に追随して、IT企業大手・百度が愛奇芸という「正規版権、高画質」の類似サイトを立ち上げており、強力なライバルとなりそうだ。

ともあれ、Youtubeコピーサイト時代の遺産をひきずる優酷網と比べて、楽視網はインターフェース的にも優位を持っている。版権取得費用垂れ流しという問題はあるものの、中国動画配信サイト業界ナンバーワンの注目株と言えそうだ。

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