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公立小学校に入学できない?!大混乱の義務教育を国が是正―ロシア(タチアナ)

2012年04月01日

■ロシアの小学校の入学事情■

*本記事はブログ「ロシア駐在日記」の2012年4月1日付記事を、許可を得て転載したものです。


After-School Program in Yaroslavl
After-School Program in Yaroslavl / HPUPhotogStudent

■公立学校に入学できない?


昨年、ロシアの多くの都市では子供を小学校に入れるのは非常に大変でした。というのは、本来なら小・中学校も義務教育ですし、ソ連のときから学区も決まっているはずなのに、なぜか、そういうことを完全に無視する公立学校が多くなったからです。入学願書受付を「学区とは無関係」しかも「先着順」にしてみたり、公立なのに勝手に入試を設けたりしました。それで、すぐ近くの学校に入れないかもしれないと、焦ってしまった父兄が多く、全国的に大騒ぎになりました。

例えば、ニジニ・ノヴゴロドのある小学校の話。入学願書受付が先着順だったから、父兄たちは車の中などで暖をとりながら学校の前に一晩並びました。行列への割り込みを防ぐため、親同士でお金を出し合って警備会社の人に来てもらったそうです。

また、ニジニ・ノヴゴロドではなく、確か、チェレポベツという町だったと思いますけれども、校長先生が朝学校に入ろうとしたら「行列に割り込もうとしている父兄」に間違えられ怒鳴られたという話がニュースでも伝えられました。それだけ父兄のみなさんが神経をとがらせていたのです。


■小学校入学のために徹夜で行列

うちからすぐ近くにある小学校も実はちょっとした名門校です。昨年一晩並んで、何とかその小学校の定員75名の中に入れたお母さんの一人は、実は上司の大家です。事情を詳しく話してもらいましたけれども、「下にもう一人の子がいるから、来年また並ばないといけないと思うとゆううつでね・・・」とそのお母さんは嘆いていました。

ちなみにロシアの小学校は新学期が始まるのは9月からですが、願書受け付け開始は毎年4月1日からです。4月のはじめにはロシアはまだまだ寒いです。例えば、今日はまさに4月1日ですが、ニジニ・ノヴゴロドの気温は+2℃~+5℃で、雪がまだまだ積もっています。そんなときに一晩中外で並ぶなんて寒がりのタチアナにとってはとてもじゃないけど無理です。しかし、事情をパパに説明したら「僕が並ぶよ」と快く引き受けてもらいました。これでうちのゆうきがなんとか小学校に入れそうだと、タチアナは勝手に安心しました。


■国の指導で学校が態度変更

しかし幸い、パパが並ばずに済みそうです。

というのは、去年の大騒ぎを受けて今年から国のルールが厳しくなりました。願書受付開始から5月いっぱいまでどの小学校も学区内の子供たちの願書しか受け付けません。そして6月に入ってから、定員がまだ埋まっていない場合に限って学区外の子供を入れてもいい、そういうルールに変わりました。ごく当たり前のルールのはずですが、なぜかそれがすっかり忘れ去られていたのです。

私もさっそくうちの学区を調べました。そうしたら、すぐ近くの名門校ではなく、もうちょっと歩いたところにあるごく普通の「小学校No29」というところでした。その学校に電話をしたら「うちは何の騒ぎもありません。学区内のお子さんであれば必ず入れますので、ご安心ください」と真っ先に言われました。私が特に何も聞いていないのにわざわざそういう話をしてきているのは、やはりここも去年大騒ぎだったからだろうと、私は思いました。

先週、入学説明会にも参加しました。学校の雰囲気も教室の様子も私が通っていた小学校とほとんど同じで、とてもなつかしかったです。校長先生たちもとても感じがよかったので、この学校で全然問題ないと私は思いました。


■不満に思う親御さんも

しかし、名門校を目指して時間もお金も使って1年~2年かけて準備クラスに通っていた親御さんたちは新しいルールに非常に不満でしょう。
(小学校の準備クラスについては記事「名門小学校に入る方法=日本の「お受験」とは違うロシア方式―ロシア駐在日記」で取り上げています)

実は、同じ公立でも、英語や芸術に力を入れたりして、何らかの特色を持っている小学校もあります。となると、自分の学区内の学校ではなく、そういう学校に子供を入れたいという親も当然出てきます。また、送り迎えのことを考えて下の子を上の子がすでに通っている学校に入れたいという家族も当然あるでしょう。

そういえば、ゆうきが今通っている教室の父兄の中にも、希望の小学校に入るため子供の住所変更をしようとしている人もいます。引っ越しはそう簡単にはできないから、知り合いなどを探して書類上だけの住所変更を検討しているようです。

そういう人の気持ちも理解できますけれども、名門校を特に目指しておらず、ゆうきにとにかくロシアの普通の小学校を体験してほしいタチアナとしては、新しいルールは大歓迎です。

以上、9月がとても楽しみになってきた、タチアナでした。

PS:ちなみにニジニ・ノヴゴロドには私立小学校がまだ一つか二つしかありません。しかも、できたばかりの学校なのでまだまだ市民の間では信用度があまり高くないようです。

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*本記事はブログ「ロシア駐在日記」の2012年4月1日付記事を、許可を得て転載したものです。  


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