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2012年04月03日
Myanmar Temple / eGuide Travel
■ミャンマーの政治改革、「プロテスト法」
世界の注目を集めるミャンマーの変化。政治面では新しく整備される「プロテスト法」が注目されている。昨年12月に成立したプロテスト法だが、「デモ実行者は5日前に当局の許可を取ること」と定められた。許可なしのデモは1年間の懲役と定められている。
欧米からは無認可デモで懲役とは国際基準から逸脱していると批判されている。しかも認可は当局の裁量の余地が大きい。許可を得たデモでも、ゆえなくして政府を批判したものには6ヶ月の懲役が待っていると言う。
これでは言論の自由も形式だけのものとなろう。ミャンマーの春はいっぺんには来ないということか。なお2012年4月1日、ミャンマー議会補選で、ミャンマー民主化運動のリーダー、アウン・サン・スー・チー氏が当選した。
■経済の改革
一方、経済法制は着々と進められているようだ。4月1日からの通貨チャットの管理変動相場制導入が決まったが、同時に外国の投資誘致を簡便化する投資法制の整備が進んでいる。これまでのところ以下のような点が変更された。
従来はミャンマーでの事業には、ローカル・パートナーと組むことが要求されたが、これが撤廃される見通し。逆に外資に対するインセンティブとして、事業開始後5年間のタックス・ホリデーが設けられる。外資100%の企業を興せるほか、ミャンマーの企業や国営企業と合弁会社を作る場合でも、外資の持分を35%以上にすることが許可されるという。また外国投資家は、土地を国やミャンマー人からリースすることができる。購入ではないようだが。リース期限は最長30年間。
また外国人労働者の導入規制も緩和された。ただしスキルを持っていることが条件となるほか、ミャンマー人労働者の技術習得を支援し、5年後までに従業員の25%をミャンマー人にすることが義務づけられている。この比率は10年後に50%、15年後に75%と高められていく。
経済法制の改革が進んでいるわけだが、気になるのは改革が挫折し、投資した金が無駄になる、あるいは政府に没収されてしまうというリスクがあることだ。不安の解消にはミャンマー政府がなんらかの保証をする必要があろうが、そもそも国自体の信頼の問題だけに最終的には外資がリスクをとるかどうかとなるだろう。
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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年3月29日付記事を、許可を得て転載したものです。