中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年04月07日
mbk drugstore stand / scaredy_kat
■タイ人の薬好き
タイには薬屋が多い。「ヤー」(薬)や「カイ・ヤー」(薬売り)の看板は街のいたるところで目に付く。ちょっとした風邪や痛みは、病院やクリニックに行くより、安い薬を錠単位で買って飲めばいい。自由で手軽だ。
タイ公衆健康省医療サービス局によると、タイの薬消費量は1日平均1億2800万錠だという。年間で470億錠。錠数で統計が出るのが面白い。
日本の錠数の数字はわからないが、1億2800万錠といえば、15歳以上(5000万人)が一人当たりほぼ平均2.5錠という多さになる。もっとも日本の年配者も薬漬けが多いが……。しかもタイの薬はオーバーザカウンター(店頭)でも安い。15%が処方箋薬、85%がオーバーザカウンターの売薬である。ジェネリック薬が多く出回っているからだろう。鎮痛薬から睡眠薬、抗生物質まで幅広い。
薬の種類だと、抗生物質が全体の20%を超えている。また全人口の2.3%が毎日痛み止めを飲み、3.3%が睡眠薬に依存しているという。
■薬乱用抑止に政府が介入、その真意は?
薬の乱用に対し歯止めをかけるべく、政府は参照価格(レファランス・プライス)設定を導入する方針だ。安売り濫用を防ぎ、副作用や薬疹、薬への耐性を予防するという名目だ。「ここは自由の国タイランドだ、ほうっておいてくれ!」と文句を言いたくなるが、実は参照価格導入には裏事情があると噂されている。
裏事情とは米国への配慮だ。インラック首相は先日、アメリカの医薬品メーカーの代表と会見した。米医薬品メーカーは途上国にジェネリック薬が広く出回り、ブランド薬の収益が損なわれることにえらく神経質になってきている。薬の安売りを防止して欲しいと頼まれた可能性もあるという。
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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年3月28日付記事を、許可を得て転載したものです。