朝日新聞が中国語ウェブサイト・朝日新聞中文網を解説した。大手日本マスメディアとしては共同通信、日経新聞に続いた。
■朝日新聞が中国語版サイトを開設
朝日新聞社、中国語ニュースサイト「朝日新聞中文網」開設
朝日新聞社は4月16日、同社として初となる中国語ニュースサイト「朝日新聞中文網」を開設した。中国をはじめとする中国語の読者を対象に、日本の政治経済、文化、観光などのニュースを中国語で発信していく。同社では、近く韓国語ニュースサイトも開設するとしている。
朝日新聞中文網では、朝日新聞の朝夕刊の記事を翻訳して掲載するほか、著名人のインタビュー、観光地の照会、重要事件の速報などの独自記事も発信していく。また、既にアカウントを開設している中国のミニブログサービス「微博(ウェイボー)」と連携した、新しいスタイルのニュース発信にも取り組むという。購読は無料。
朝日新聞がついに中国語版サイトを開設。絶対に黒字化しなそうなプロジェクトをよく頑張ったな、というのが私の感想。2010年に日本に訪問した中国人ジャーナリスト・安替は日本メディアが中国語報道しないことで国益を損なっていると喝破したが、そこで誰しも疑問に思うのが「国益のために赤字の中国サイトを開いても、国は補填してくれないのでござる」ということ。
(関連リンク:
「安替:ネットメディア外交のスゝメ」大陸の風-現地メディアに見る中国社会/ふるまいよしこ)
大朝日の営業力を生かして、日本企業の広告をがっつり入れない限り黒字化は無理だし、その場合には広告を出した企業はたいした宣伝効果を得られないという悲しい話になるのでは……というのが第一印象だが、なにはともあれめでたい話、だと思う。朝日新聞には日本の国益のために頑張っていただきたい。
ただし、そのサイトデザインはいただけない。友人の中国人は「海賊版サイトみたいなデザインやで」とぼそりつぶやいていた。というわけで、海外メディアのサイトデザインをざっくり比較してみようかと。

朝日新聞中国語版サイト。素人でも作れそうなサイトデザインが危険で危ない。固定広告に入っている立命館アジア太平洋大学の広告がワンポイント。あと天声人語の中国語訳が目立つ位置にあるが、それはキラーコンテンツなのか問い詰めたい。ソーシャルメディアは新浪微博と網易微博に対応。新浪と並ぶ二大巨頭のテンセント微博を入れていないのが謎すぎる。

日経新聞中国語サイト。先日オープンしたばかりだが、中国版専門コンテンツもあるなどそこそこ充実している印象。しかし朝日新聞同様、画面が白すぎ。中国人の好みを理解していない感が半端ないっす。ソーシャルメディアへの対応はゼロ。

日本マスコミ中国語版サイトの老舗、共同通信の共同網。さすがに広告、コンテンツ、機能も充実。老舗の力を感じさせるが、やっぱり白すぎるような気が……。ソーシャルメディアへの対応はフェースブックとツイッター。中国人に読ませたいという気慨に欠ける気もするが、老舗だけに最新のソーシャルメディア動向についていけない部分も。

韓国紙・中央日報のウェブサイト。日本語版だと記事掲載後すぐに非会員には記事が読めなくなるという意地悪な仕打ちをするのに、中国ではオープンすぎるぐらいオープンに記事を出している。デザイン的にはかなり中国を意識しているのではなかろうか。意外にもソーシャルメディア対応はゼロ。「中央日報の新浪微博アカウントが始まったよ!」とかいう広告が出ているだけになんだか寂しい……。

朝鮮日報。韓流エンタメ情報の充実度は中央日報以上。デザインもディスイズチャイナという感じで、ローカライズ半端ないッス。管見の限り、ローカライズでもっともがんばっている(=中国化している)海外メディアサイトではなかろうか。ソーシャルメディアには新浪微博、ツイッター、フェースブックに対応。もっと中国サービスへの対応を強化するべき。

比較対象として中国サイトもご紹介。環球時報電子版=環球網。このみっちりつまった情報量をみよ!朝日新聞中国語サイトのデザイナーはこれを見て、「そうか!リーダビリティーなんていらんかったんや!詰め込め!詰め込め!」と悟って欲しい。

こちらは中国でもっともオシャレなニュースサイト(金鰤認定)である新京報網。色味こそシックながら、環球網に負けず劣らずの詰め込みっぷりを発揮している。ソーシャルメディア対応も9サイトと豊富。その中には中国ネット検閲で規制の対象となっているツイッター、フェースブックも含まれている。もし万が一、毎日新聞、読売新聞が中国語版(=赤字)を開設するならば、新京報のデザインを参考にするといいのではないか。まあ、オシャレにしても赤字は赤字だが。
というわけで駆け足で見てきた海外メディアの中国語サイト・デザイン。朝日は論外にしても、中国事情に対応した鼻血がでるほど要素を詰め込むという精神が日本には欠けているのではないか。日本勢の奮起に期待したい。
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