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2012年04月29日
Police escort for the Torch bearers / tibchris
■刑事ビジネス保釈金編
海南省海口市公安局刑事課分隊は2002年から2009年にかけ、賭博、違法経営・詐欺事件を70件近く摘発している。まじめに仕事をこなしているように思えるが、実はこれが「刑事ビジネス」なのだという。
2007年8月、海口市警察は、大学の裏口入学を斡旋してた業者14人の逮捕を発表した。リーダーの楊柳は3月15日に逮捕されていたが、5月23日に113万元(約1430万円)を支払い保釈されている。保釈金の規定については最低額が決められているだけで上限は決められていないが、多くとも10万元(約130万円)が相場。100万元以上というのは異例の高額だという。
問題は一度支払った保釈金が返されることがないという点にある。後に不起訴扱いになったとしても、「保釈期間中の規則違反」などを名目にして巻き上げられてしまうのが実情だ。2002年以来、海口市警察は213万元(約2800万円)の保釈金を受理しているが、返還されたのは25万元(約325万円)のみ。ほとんどは没収された。
■刑事ビジネス押収編
保釈金よりももっと儲かるのが押収物だ。海口市警察刑事課分隊の押収物は数千万元に相当するという。
2008年7月、同分隊は台湾人相手にネットや電話を使った詐欺犯(おそらくは振り込め詐欺的なもの)7人を逮捕。現金、株式、高級自動車など1250万元(約1億6300万円)相当を押収した。翌月、裁判を経ずして、押収物は「国庫に上納」と報告されている。明らかに司法手続きに背く行為だ。
そして押収物が「上納」された翌日、詐欺犯7人は勾留期間満了で釈放された。被害者はいずれも台湾人で、中国本土での証拠集めが難しいことを理由に不起訴処分となっている。
同分隊が押収した財物は2002年以来で計5400万元(約7億円)。うち3600万元(約4億7000万円)が押収されている。また2011年末時点で「処理待ち」の押収物は1710万元(約2億2000万円)相当となっている。
■刑事ビジネスの儲けはどこに消えた?
さて、こうした儲けた金はどこに消えたのか?規定では国庫に上納されることになっているが、ある海口市警察関係者は大部分が刑事課分隊オフィスビル及び職員住宅の建設費に充当された可能性が高いと話している。現在、海口市共産党紀律委員会が調査を進めており、解明が待たれる。またより上級の紀律検査部局も注目しているという。
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