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ミャンマーの経済開放路線が招くタイ製造業の労働力不足(ucci-h)

2012年04月30日

■タイの労働力不足問題の背景は?■

*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年4月18日付記事を、許可を得て転載したものです。


Thai Cashew Factory
Thai Cashew Factory / madaboutasia

■タイが労働力不足になる5つの理由

「タイの労働力問題は賃上げではない。人出不足だ」と4月10日付バンコク・ポスト紙は報じた。

大学は出たけれど定職のない人、真っ昼間から木の下で寝ている人を見て、タイは働かない人が多い国だという印象を持っていた。実はタイは失業率が低く、労働力不足が深刻化しつつある。
(関連記事:「うそーっ!タイは労働力不足!?」チェンマイUpdate、2010年12月9日)

その理由は以下の5点。

1:少子化。出生率は人口1000人当たり12.8人にまで低下した。と縮んできている。まるで中国の一人っ子のように、子供を生まなくなった。10年前の1000人当たり17人弱から大きく下がっている。
2:工場労働など厳しい規則のある仕事につきたがらない。無職でも職探しをしない人も多く、失業率はわずか0.43%(2012年1月)という異例の低さだ。

3:穀物などの一次産品価格の上昇に伴い、農業・一次産業回帰が進んでいる。

4:労働効率が悪く、労働力を浪費している。

5:ミャンマーの経済開放路線。タイではミャンマー人をはじめ200万人を超える外国人労働者が働き、タイ人が嫌う建設業や漁業などの3K仕事を担っている。ミャンマーの開放路線に伴い、数年後にはミャンマー人の帰国が始まると懸念されている。


■タイの労働力不足、解決策はあるのか?

タイの食品加工産業では、全労働者の30%がミャンマー人。その数は数十万人に達している。それでも2万~3万人の人手不足だという。賃金を大幅に引き上げてもなかなか人が集まらない。工場経営者はむしろ拠点をミャンマーに移すことを考え始めている。電機産業や自動車部品産業も例外ではない。賃金をあげても手不足は解消しないという。

ミャンマーの経済開放が進むに従って、タイの人手不足はどうなっていくのだろうか?ラオスやカンボジアからもっと人を集めることになるのだろうか?タイの企業の国外立地が加速されるのだろうか?それとも、タイ企業の生産性向上で解決するのだろうか?

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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年4月18日付記事を、許可を得て転載したものです。 

 コメント一覧 (4)

    • 1. 天天
    • 2012年04月30日 20:52
    • 今日の記事で「担っている。いている。」と「手不足は解消しない」という部分に気付きました。

      また昨日の記事の「(軍コートを来た男)を読んでいた」は「(軍コートを着た男)と呼んでいた」だと思います。

      ちなみに先日、荒井利明さんの『「敗者」からみた中国現代史』という本を読み、中国でも軟禁は違法であるということを知りました。

      2007年に1989年から18年間軟禁されていた趙紫陽・元総書記が亡くなりましたが、最期の5年間は胡温政権のもとでの軟禁でした。
      今回の陈光诚氏の請願に、現在の中共中央がどのように対応するのか非常に関心を持っています。
    • 2. 天天
    • 2012年05月01日 21:03
    • 細かい指摘ですみません。
      昨日の記事の「各班20人以上が今した。」の部分は、「各班20人以上がいました。」だと思います。

      そしてKinbricks Nowとふるまいよしこさんの訳を比べてみたところ、
      http://www.newsweekjapan.jp/column/furumai/2012/04/post-493.php
      奥さんが骨折した場所(左目or左大腿?)とお母さんの行動の制限(売りに行けないor買いに行けない?)の部分が違いますね。
      私はお2人のように中国語を聞き取ることなどできないので、自分で確認できないのが残念ですが。
    • 3. 天天
    • 2012年05月12日 07:08
    • 私、Kinbricks Nowの大ファンなんです。
      英語サイトも含めて中国関連のいろいろな記事を読んでいますが、その中でもピカイチのクォリティを持っていると思います。
      そういった私の大好きなサイトにぶらりと訪れたお客さんが、少々の誤字のために記事の品質を見誤ることがあったら非常に悔しいので、勝手に誤字ターミネーター活動をしております。

      さて、「脱出した盲目の人権活動家・陳光誠が明かした監視と暴力に苛まれた日々=ビデオメッセージ全文―中国」
      の「(軍コートを来た男)を読んでいた」->「(軍コートを着た男)と呼んでいた」の修正に関しては、
      後半部分の「を読んでいた」->「と呼んでいた」の部分もあるのです。

      上記ページに関しては、福島香織さんも紹介していますので、さらに多くの人の目に触れることを考えて、再度ご連絡させていただきます。
      http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120507/231754/?P=2

      それにしても今回の陳光誠に関する事件、中国の醜悪な面を露呈させる方向に移行しているようですね。
      http://www.guardian.co.uk/world/2012/may/11/chen-guangcheng-nephew-charged-manslaughter
    • 4. Chinanews
    • 2012年05月14日 10:28
    • >天天さん
      いつもすいません……。記事を書くと力尽きて見直し不十分でアップしてしまっているという……。反省します。ありがとうございました。

      現在、久々に中国訪問中でほとんどネットをシャットアウトしている状況なので、逆に中国時事に取り残されているところもあるのですが、陳光誠については支援者の女性が朝日、ロイターの取材に答えていた内容が印象的でした。

      「鳥は籠からでた」(でしたっけ?)という暗号で脱出を知り、顔を合わしたこともない人などの支援者6人が集まり、山東省内の謎の「安全な場所」にまず滞在し……という映画さながらの過程は、奇跡の脱出劇の裏になにかありそうなことを示しているようにも思います。


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