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「また毒食品がでたぞ~!」アヘンよりも癖になる謎の添加物?中国メディアの煽り報道

2012年05月02日

「アヘンよりも癖になる謎の食品添加物・肉宝王中王」が中国で話題となっている。


红烧肉01
红烧肉01 / incity007

■厨二病的、謎の食品添加物「肉宝王中王」

4月30日、江蘇衛生テレビが報じたもの。南京市のレストランでは、「紅焼肉」(中華風豚の角煮)に「肉宝王中王」という食品添加物が広く使われているというのだ。使うと、赤みがまし、やみつきになる味わいだとか。しかし使っているコックさんたちは「なんかやばいって聞いたっす。食わないッス」とコメント。このネタに「アヘンよりも癖になる?!南京に違反品の紅焼肉添加物登場!」といった煽りタイトルがつけられて大手ポータルサイトに転載され、話題となっている。



「まーた中国に毒食品がでてきやかったのか!」と思い込みがちだが、それはちょっと早計だと考えている。というのも、中国では毒食品乱舞に猜疑心がマックスとなってしまい、「食品添加物」と言うだけで「ともかく悪いものに違いない!」という先入観が存在している。「肉宝王中王」とかいう厨二病的商品名がついていれば、「もう間違いないべ!」とスクープネタの一丁上がりという寸法だ。


■専門家の謎コメント

番組の紹介によると、パッケージの成分表には「塩、化学調味料、シクロペンテン系香料(国家基準で承認されたもの)、アミノ酸、その他香料」と書かれている。食品添加物というか、ブレンドした調味料というイメージではなかろうか。

で、南京医科大学公共衛生学院の莫宝慶教授の番組コメントがまた謎すぎる。

肉宝王中王は混合型食品添加物に属するもので、成分は複雑です。こうした製品の使用についてはまだ法律に明確な規定がありません。

パッケージに表記されている成分は食品の味をよくするもので、やみつきになる可能性は十分にあります。

こうした香料の大部分は人工的に合成されたもの。(合成の際に)塩素が触媒として使われますが、添加物と一緒に胃に入ると、胃腸に強い刺激を与えます。また水と結合して塩酸になり、胃の粘膜にダメージを与えるでしょう。

「ダメージを与える」と言っているものの、それは香料合成時に使った塩素が残留していた場合の話。残留を疑うのならば、国家基準で認められた人工合成の香料すべてを疑わないといけなくなってしまうが……。


■危ない食品添加物=人気記事

というわけで、冷静に見ると「肉宝王中王という面白い名前の調味料が売っていて、コックさんはよく使っているみたいだけど、本人たちは不気味がって食べていないんだって」ぐらいの情報しかないことがわかる。

これで釣られるなよ、と思うのだが、まあ、コックさんたちが気味悪がって食べないことから分かるとおり、それだけ食品問題への疑念が強いということだろう。もっとリテラシーを身につけなよ!と思わないではないが、まあ日本人も(そして私も)あまり他人様を批判できるようなリテラシーを持っているわけではないので仕方がないか。でも、中国メディアの記者さんはもう少し勉強したほうがいいと思う。

というわけで、「なんか聞き慣れない食品添加物がありました」というだけで話題の記事を作れる中国。ここは日本が誇る名著(?)「買ってはいけない」の中国語版を売り出せばバカ売れするのではなかろうか?「あの食品安全先進国・日本でベストセラーになった警世の書」とかキャッチコピーつければ結構いけるような気がするのですが、どうでしょう?

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