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2012年05月02日
*香港の著作権(修正)条例抗議デモ。
■パロディ・二次創作が壊滅する?!
今回の改定案は「2011年版権(修訂)条例草案」(2011年著作権(改訂)条例草案)と呼ばれるもの。昨年、議会で1回目の審査を終え、5月にも最終決議にかけられる予定だった。昨年末からネット民、作家・芸術家団体、ネットプロバイダー、野党など、反対の動きが広がっていた。
さて、何が問題なのか、という点だが、反対者たちは「パロディ・二次創作を抹殺する狙いがある」と主張している。すなわち版権作品を流通させる著作権侵害を犯した場合、それが非商業目的であろうが、あるいはその結果もたらされた経済的損害がどれほど軽微であろうが、刑事罰に問われるという内容だという。
(「~だという」と歯切れが悪いのは条文そのものをちゃんと確認できていないため。反対派もどの条文が問題なのかを具体的に指摘していないのでチェックしづらい上に、ネットで公開されている草案も従来法の改訂部分のみを表記したもので、さらっと眺めただけではどこが問題になっているのかさっぱり。)
香港では替え歌や映画・アニメのキャラを使ったパロディ風刺が流行している。政府の狙いはこうした批判の取り締まりにあるのではとの声も上がっているようだ。
国家転覆罪や反乱扇動罪などを定めた香港特別行政区基本法第23条のネット版だとして、「ネット版23条」とも呼ばれている。
政府は二次創作を対象にした法案ではないと弁明したが、反対者は「二次創作を除外」「経済的損害が軽微な場合は除外」などの免除条項を入れるように要求している。
*パロディ動画「総統閣下は著作権(改訂)条例にお怒りのようです」。
強烈な反対を受け、与党も方針を転換。今議会中の成立は見送られる公算が高くなっている。
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