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2012年05月04日
Galaxy Nexus_015 / TAKA@P.P.R.S
デジモノ情報サイト・駆動之家によると、5月3日夜、深圳市国証通管理咨詢有限公司公式サイトは「中国工業情報化部のグーグル使用に関する通知」という情報を公開した(現在公式サイトはダウンしているもよう)。中国工業情報化部自身がこの通知を公表しているわけではないが、「十分ありえる話」として波紋が広がっている。
通知によると、中国工業情報化部は5月3日以降、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレット)にグーグルのロゴ及び同社製アプリを使用することを禁止したという。製品の認可を受けるためには、アンドロイドに初期搭載されているグーグル検索やブラウザー、マーケットのアプリを削除する必要があるとのこと。
2011年の中国スマートフォン出荷台数で、アンドロイドは51%と過半数を占めている。今後はグーグル純正のOSは使えず、メーカーがカスタマイズしたOSを使用しなければならないということのようだ。
今、中国ではカスタマイズ・アンドロイドが大流行。テンセントや百度といった大手IT企業が自社のウェブサービスを使わせる目的で作っているものもあれば、元グーグル中国総裁の李開復氏率いる創新工房の点心OS(シャープなど複数メーカーが採用)のように中国人のニーズに合わせたもの、さらには魅族などのメーカーが独自色を打ち出すために作っているものなど多種多様だ。
ITライター・山谷剛史氏によると、むしろ零細ノンブランド携帯メーカーが作っているものほど、純正アンドロイドを採用している傾向が強いという。その意味では工業情報化部の通知は現在のトレンドを追認したもので、「十分ありえる話」と受け止められているのも納得だ。
ネット検閲の影響で中国はグーグル、ツイッター、フェースブックなどの国際的ウェブサービスからの鎖国を実現。中国IT企業が成長できる環境を作り出してきた。モバイルインターネットの世界でも同じく、鎖国と自国企業の育成を目指す可能性は高く、「アンドロイドを使いながらもグーグルを排除する」という方針を国が採用するのも十分に考えられる。もっとも米中の経済摩擦の火種になることは間違いなさそうだが……。
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