中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年05月13日
■婉曲的経済制裁
現在の紙面はフィリピンとの南シナ海・スカボロー礁(黄岩島)問題一色という印象。中国お得意の婉曲的経済制裁(虫が見つかったからフィリピン産バナナの検疫を強化、大規模反中デモ やるから渡航自粛勧告、旅行会社は続々ツアー中止)を敢行中。
記憶に新しいところでは、尖閣諸島沖中国漁船衝突後の日本、台湾向け兵器売却&オバマ大統領、ダライ・ラマと会見後の米国、北京五輪聖火リレー問題&サルコジ大統領、ダライ・ラマと会見後のフランスとに発動されてきた婉曲的経済制裁だが、「途上国の老大(ボス)にして代弁者」を自認する中国が、フィリピンに対して発動したのはきわめて大きな意味を持つのではないか。
以前にも書いたことがあるが、中国の世界貿易機関(WTO) 加盟後10年で、国際社会の最大の誤算は「自由市場に組み込めば、自然と法治国家になるでござる」という目論見が激しく破綻したこと。婉曲的経済制裁という手法が繰り返されないよう、このやり口がいかに中国の国家イメージを傷つけるものかを指摘しておく必要があるように思う。
■中国民間の金融飢餓
という話を枕にして、紙版環球時報を見ないと分からないオモシロポイントがあったのでご紹介。
「中国民間的金融飢餓亟待解決」(中国民間の金融飢餓の速やかな解決が必要だ」という記事なのだが、その脇に並んでいる広告がすばらしい。
投資、項目合作(プロジェクト協力)などの文字が並んでいるが、これはいずれも「投資してよ」という広告なのだ。わずかなすき間にびっしりと広告が並んでいるところに「なるほど、確かに飢えている」という印象あり。。投資分野には不動産、鉱山資源、科学技術、新エネルギー、バイオ、農林水産、交通、教育、水力発電所などが並んでいる。
「企業の余剰資金の運用はお任せ!」という金を出してくれ広告もあれば、「うちには資金があります!投資対象のプロジェクト求む」という融資先募集なのか、高利貸の広告なのか、それとも詐欺なのかとわくわくさせてくれるものも。
ネット版と紙版では広告内容が違うので、こういう広告を見ると嬉しくなってしまう。それにしても
「中国民間金融の飢餓」というコラムだけ見ても「あーいつもの話ね」で終わってしまうところが、その隣の広告を見ると、中国最大の日刊紙・環球時報にこんな危なげな広告が乱舞しているとは……。中国民間金融は確かにヤヴァイと危機感を与えてくれるステキな紙面構成ではないだろうか?