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1兆円ブランドめぐる商標権訴訟が決着=中国ナンバーワン健康茶・王老吉が改名

2012年05月17日

中国の宴会に付き物のソフトドリンク、ボクらのナンバーワン健康茶飲料・王老吉の商標権裁判が結審。加多宝と改名して販売されることとなった。今年は中国の商標紛争が注目されているが、この王老吉の裁判は一味違う成り行きが面白い。


20120517_wanglaoji


■中国ナンバーワン漢方お茶飲料

漢方薬入りのお茶飲料・王老吉。今では日本の中華料理店でも置かれていることも多く、ご存知の方も多いのではないか。

「上火が怖いなら、王老吉を飲もう」(上火は中国医学の観念。体内の火の気が強くなり、疲れや湿疹などの症状が出ることを指す)をキャッチコピーに、この10年あまりの間に中国の健康ソフトドリンク市場で大きなシェアを築いた。もはや宴会の必需品といっても過言ではないかも知れない。ちなみに薬臭くて甘ったるいので、あまりおすすめはできない。

中国でどれほど王老吉がはやっているかについて、デイリーポータルZの記事「中国の飲料は王老吉が最強」が詳しい。ただし一点だけ間違いがある。記事では缶の王老吉と紙パックの王老吉を同じ物として扱っているが、実は発売元が違うのだ。

今回の裁判は紙パック版販売会社VS缶版販売会社の争いとなった。


■贈収賄発覚でご破算になった商標貸借契約

紙パック入りを販売しているのは広薬集団。中国本土での商標権は同社が有している。その商標を借りて缶入り飲料を販売しているのが香港・加多宝集団だ。なお商標権を借りているとはいえ、認知度は圧倒的に缶入りのほうが上だったりする。

商標の使用契約は当初、2000年から2010年までの10年間だったが、後に2回にわたり延長され、最終的には2020年までの使用が認められた……はずだった。

ところが延長契約を交わした広薬集団の李益民・総経理(当時)が加多宝集団に300万香港ドル以上もの賄賂をもらっていたことが発覚したからさあ大変。第三者機関の評価ではブランド価値1000億元(約1兆3000億円、広薬集団の主張)を超える商標の使用権を安値で叩きうった、国有資産流出の罪で李益民は有罪判決を受けている。


■王老吉と加多宝の今後

問題は賄賂によって成立したとみられる商標貸借契約をどうするかという点。広薬集団と加多宝集団は交渉では合意できず、裁判に突入。このたび広薬集団の勝訴が確定し、缶入り王老吉は加多宝と改名することが発表された。加多宝はキャッチコピーを「上火が怖いなら、元祖涼茶を飲もう」と変え大々的にテレビCMを展開してブランド認知を計っているが、大打撃は間違いない。

一方、広薬集団は株価を大きく上げて祝勝ムード。今後は紙パックに加えて缶入り王老吉も自社から販売すると高らかに宣言している。もっとも加多宝側は「商標裁判には負けたが、赤い缶に王老吉のロゴというデザインについては我が社が権利を保有している」と牽制。今後の成り行きによってはまたもや争いになるかもしれない。


■香港企業の強さの秘密?!

最初にこのニュースを見た時、また商標訴訟で外国企業が負けたのか!という予断を持って読んでしまったのが、ふたを開けてみると、「香港企業が安く商標を借りようとして賄賂を贈ってみたらばれちゃった♪」という話でちょっと意表を突かれた。

まあ、中国本土で成功している外資系企業の多くは香港系、台湾系。あるいは、こうした中国的「寝技」もこなせるのが強さの秘密なのかもしれない。とはいえ、ばれてしまっては元も子もないが……。


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