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中国ゴージャス温泉の危機=無認可業者の乱開発で枯渇まっしぐらに

2012年05月20日

2012年5月18日、南方週末ウェブ版は記事「クレイジーな地熱開発=温泉業者の70%は無認可」を掲載した。


温泉
温泉 / ryosalem

■中国人の温泉好き

中国人の日本旅行といえば、ショッピングは別にしてディズニーランド、桜、寿司、富士山、そして温泉が定番といったところだろうか。もっとも「バラ風呂」といったアトラクション的なものを期待していたのにただの臭いお風呂だったとがっかりするケースも少なくないようだが。

今や中国国内でも温泉施設は少なくない。それもよりゴージャスに、より大規模になっているのが近年のトレンドだそうだ。今や世界的な有名人となってしまった元重慶市委書記・薄熙来も「重慶=温泉の都」計画をぶち上げ、観光業の目玉にしようとしていたほど。

その一方で無認可の温泉業者が増え、温泉の乱採掘が進んでいるのが問題だという。


■無認可業者ばかりの温泉施設

中でも温泉が乱立しているのが北京市。現在、115もの温泉施設がある。2003年には10施設もなかったというから年に10店舗以上のペースでオープンしている計算だ。しかし国土・推理部局の地熱採鉱許可証、取水許可証を取得した業者はわずかに30社。つまり70%以上が無認可のモグリという計算だ。北京市以外でも同様の状況で、浙江省では18施設中正規業者は4施設のみ。広東省では102施設中60施設だけだという。

雨後のタケノコ的に乱立する温泉業者の乱採掘によって、北京市の地熱水は年1.5~2メートルペースで水位を下げている。 かつては1000メートルほど掘れば温泉が出たというが、現在でも最大で4000メートルまで強引に掘っているケースもある。 このまま水位低下が続けば100年以内に枯渇する計算だ。楊貴妃の湯殿で知られる華清池がある西安市では、地熱水の水位は年4メートルペースで低下する深刻な状況にある。



■温泉と法律

無認可温泉業者の乱立には法の問題もあるという。地熱利用関連の法律こそ比較的整備されているものの、温泉と地下水との区別に明確な定義がないことが問題だ。例えば日本では温泉法により、温度が25度以上でイオウなどの成分が含まれているものを温泉と定義している。明確な定義がない中国では「暖かめの地下水」と言い張って許認可を受けなかったり、あるいは国土・水利部局の管轄にあるのか、旅行関連部局の管轄にあるのか、あいまいになった末に有効な管理がなされないという状態にある。

また地熱の利用については、住宅の暖房に使う場合は1立方メートルあたり3.5元、旅館業は9元、浴場及び公共娯楽施設では55元と北京市は定義している。しかし旅館業や住宅の基準でしか料金を払っていない温泉業者も多い。それどころか湯量のメーターが「壊れたまま」になっていて、正確な採掘量を計測できていないケースもしばしばだった。

「持続可能な温泉」のためには、温泉の定義を明確化し、政府管轄部局を一本化し、無認可業者を駆逐すること、熱水を地中に還元することを義務づけるなどの措置が必要だという。政府部局の権限一本化はともかく、法整備やら基準作りやらはいろいろと日本もお手伝いしたり、売り込んだりは可能なのではないか。次回の日中戦略経済対話ではぜひ「温泉関連技術の輸出促進について」とか覚え書きを交わして欲しい。

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