中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年05月21日
Tibet - Lhasa / Göran (Kartläsarn)
最近「根強い抵抗運動の続く東チベットのある町」に入ったある旅行者が、現地のチベット人と焼身について会話した内容を伝えて下さった。貴重な証言と思われるので、以下、これを報告する。
質問:なぜ焼身?
僧・俗:
「役人は『自由に意見を』と言うが、何か言えば逮捕されるだけだ。みんなでデモするか?全員撃たれて殺されるだけだ。パレスチナを見習うか?駄目。俺達には他人を傷つけてはいけないって教えがある。チベット人にできるのは自分に火をつけることぐらいだな」
質問:
焼身に否定的な意見もあるが。
僧・俗:
「自分の苦しみから逃れるために自殺してるんじゃない。600万チベ人のためにやってるんだ」「外国人とは受けてきた教育、宗教意識が違うから理解しにくいんだろう。生きるとか死ぬとかは要するに花が咲いて枯れて、また咲くようなものなんだ」
質問:
なぜ、カムやアムドで多いのか?
(チベットはウ・ツァン、カム、アムドの3つの地域から構成される。中華人民共和国のチベット自治区はウ・ツァンに相当。昨年から続く焼身抗議は自治区以外に集中している)
僧・俗:
「民族意識が強いからだ。俺達の意識はラサよりもずっとスゴイんだ」「別にこの数年の政策や衝突の話だけじゃなく、何十年も積もってきたんだ。チベ人はずっと圧力を受けてきて、08年に爆発して今も続いてる。俺達はチベ文化を守らなければいけない」
質問:
焼身を肯定するなら、自分がやる可能性も?
俗人:
「自分が一番に考えているのは家族を守ること。だから自分は焼身できないだろう。でも焼身抗議者は600万チベット人のことを考えて行動している。思想の偉大さが違うってことかな。だからこそ彼らは本当の英雄なんだ」
…みたいな話をコソコソと。現地の人はたくましく生きてました。