2012年5月21日、北京市市政市容管理委員会は、「
北京市主要業種公衆トイレ管理サービス業務基準」を発表した。「2匹以上ハエがいてはならない」などの珍規定が話題となっている。
公衆トイレ「ハエは2匹まで」=衛生改善へ新基準-北京
(…)市政府担当者は「ハエはトイレで用を足す人を不快にするだけでなく、各種疾病の感染原因にもなる。数量化規定を作ることで監督や検査を行いやすくする」と説明。さらにトイレ内の臭いに関しても「臭いなし」の0級から「強烈な臭い」の5級まで区分し、抑えるよう求めた。
この「ハエ基準」に対して国内のミニブログ「微博」では議論が沸騰。「ハエは飛んでいる。本来は2匹なのに、検査の時に1匹が飛んできたり、本来は5匹いるのに検査時に3匹出ていったりしたら、そのトイレは合格なのか不合格なのか」といった書き込みが相次いでいる。
■ハエの数は2匹まで、臭気強度鑑定員の大変なお仕事
特に話題となっているのが第5条の「公衆トイレ衛生保持管理指示」、第6条の臭気基準だ。
こちらが第5条の内容。廃棄物は2個まで。30分以上置いたままではいけない(=30分に1回は掃除に来い)。そしてハエは2匹以下という内容。
こちらが第6条の内容。水洗式公衆トイレ1級、2級、その他で基準が違い、1級トイレの場合は臭気強度は1まで、アンモニアは1立方メートルあたり0.3ミリグラムまで、硫化水素は0.01ミリグラムまでと定められている。
ハエの数も爆笑ものながら、臭気強度の測定もかなり不思議なもの。5人一組の鑑定員がにおいを嗅いで、3人以上が「基準値以下」と判断した場合には3級と判定されるという。以前、外国人の中年女性が人の脇の下を嗅いでまわるという制汗スプレーのCMがあったが、あんな感じだろうか。なかなか大変そうなお仕事である。
■元祖官僚国家と5つ星トイレ
中国の公衆トイレの汚さは今や世界に知れわたっている。改善するのはもちろんいいことには違いないのだが、なんだかいまいち実用性のない法律を作ってしまうところに、元祖官僚国家・中国の病を見てしまうのは私だけだろうか。
中国のトイレに関する政策といえば、思い出されるのが2008年の北京五輪。星1つから5つまでで評価する星級トイレ評価を導入し、結構な話題となった。その星の決め方も爆笑もので、「3つ星トイレは面積40平方メートル以上」「5つ星トイレにはテレビ、絵、花、BGMを完備」といった不思議な取り決め。「そこじゃないねん!きれいならそれでいいねん!」とみなの心を一つにしていた。私も五つ星トイレを利用したことがあるが、入り口の液晶テレビを横目にトイレに入り、BGMを聞きながら用を足すのは不思議な感覚だった。
すっかり話を聞かなくなった星級トイレだが、制度が廃止されたとは聞いていない。今回新たに条例で衛生基準やら一級水洗トイレやらが出てきたわけだが、これもしばらくの間は取りざたされるかも知れないが、次第に忘れ去られ、そして新たな取り決めが出てくるのだろう。まあ法律、条例を作る仕事がなくならなくて、官僚的には万々歳なのかもしれない。
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