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わずか9日で中国武術の奥義に開眼?!省政府機関が怪しげ健康法を大宣伝―中国

2012年05月27日

2012年5月、甘粛省衛生庁は、たった9日間の修行で甘粛省医療スタッフが中国武術の奥義・真気の運用をマスターしたと発表した。中国ネット民からは「どこの武侠だよ!」とツッコミの嵐が吹き荒れている。25日、騰訊網・今日話題が伝えた。


■北斗の拳と武侠小説と甘粛省衛生庁

経絡。

名作漫画「北斗の拳」で日本でも知名度を得た言葉だ。もともとは伝統中国医学に由来し、経脈、絡脈とに分かれ、気が流れる通り道だ。カンフーマスターたちのバトルを描く武侠小説でもたびたび登場。達人たちは経絡に真気を通わせることで超人的な力を得ている。悪者に経絡を断たれてカンフーが封じられるのもおなじみの展開だ。

その経絡の一つ、任督二脉。ここに真気を通すことは難しく、大家・金庸の武侠小説に出てくる登場人物・狄雲は12年の修行を経てようやく習得したという。ところが甘粛省の医療関係者たちはたった9日間の研修に参加しただけで、任督二脉に気を通すことに成功したという。

このオモシロニュースは中国メディアに大きく取り上げられた。中国ネット民からは「甘粛省始まったな。五大門派(金庸の小説・天竜八部に出てくる武術の五大勢力。明教、紅花会、少林寺、丐幇、武当を指す)クラスやで」と笑いのネタにされている。


■オモシロニュース発信源、甘粛省衛生庁

実は甘粛省衛生庁がオモシロニュースを提供してくれたのは今回が初めてではない。昨年10月には「豚足、生のにんじん、生のクログワイでじん肺が治る」というオモシロ健康相談をウェブに公開し、話題となっていた。

「豚足でじん肺を治す」トンデモ療法発表の政府官僚に批判殺到―中国紙
レコードチャイナ、2011年10月30日

16日、甘粛省衛生庁公式サイトに、劉維忠(リウ・ウェイジョン)長官の署名記事が掲載された。劉長官は「漢方医1000人によるマイクロブログ相談コーナー」設立を訴えたほどの中国医学信奉者。公式サイトではじん肺の治療方法として、「豚足、生のにんじん、生のクログワイを食べる」「気功」「漢方薬」「針灸」「歌を歌う」などの方法が有効だと推薦されていた。 

今回もまた劉氏の中国医学信奉が爆発し、医療スタッフの経絡開通研修が開催された、ということのよう。ちなみに発表によると、45人の参加者中、41人が真気を通わすことに成功。持病が完治、あるいは軽減したり、食欲、睡眠欲、排泄も正常になったと大喜びと伝えられている(甘粛省衛生庁)。

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■中国でも大流行!怪しげな健康法

嘲笑している中国ネット民的には「迷信乙」「笑えるネタをありがとう」といったところだが、この劉氏、大まじめなのである。ネット民の批判に対し、「私の出世の道が閉ざされたとしても、それで真気学が発展するならば本望」とまで言い切っている(新京報)。

問題は劉氏の考える真気が本当に効果があるのか、あるいは伝統中国医学の中でも認められた手法なのかということになろうが、残念ながら否定的な専門家が多い。とはいえ、近代医学の治療は金がかかりすぎることもあり、ちょっと怪しげなものも含めて中国伝統医学に引きつけられる人が多いのも確か。法輪功からして、薬は要らない、気功の鍛錬だけでお安く病気を治せます、をうたい文句に勢力を拡大していた。

庶民のみならず、官僚にも怪しげな伝統的健康報、迷信の信奉者が多いが、劉氏はその急先鋒と言えよう。本サイトでも紹介したように、風水にドハマリしている官僚も少なくないだけに、自らの正義を信じ切って公言する劉氏以外にも、隠れ劉氏が大量に存在しているのだろう。

まあ怪しげ健康法の数では日本も決して遅れをとっていないわけだが、トップダウンの中国では劉氏のような「信念の人」が役職を得ると、オモシロ健康政策の大号令が発動する、というあたりが違うところだろうか。いや、もちろん劉氏の理論が正しく、甘粛省が武術の達人だらけになるという展開を希望しているのではあるが。

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