■老党員から解任要求が飛び出す周永康■*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年5月26日付記事を許可を得て転載したものです。

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■周永康を解任せよ
古参共産党員が周永康の辞任を要求する書簡を胡錦濤宛に送りつけた上、その内容をネットで公開したことが話題を呼んでいます。
(「周永康辞任要求の古参幹部が警告受ける」BBC中文、2012年5月24日)
雲南省昭通市に住む、引退した70代から80代の党員16人の連名による書簡ですが、
周永康が重慶市を「第二次文革」の基地と変え、唱紅打黒(革命歌振興、マフィア・汚職官僚撲滅運動)を展開した薄熙来を支持していた責任を問い、解任し中央紀律検査委員会の審査を受けるよう求めています。
また極左的手法を使う劉雲山を中央宣伝部長から解任すること。十八大で政治局常務委員に昇格させないようにとも求めています。
なお、書簡執筆者の代表としてBBCの取材に応じた趙正榮さんと余永慶さんですが、公安から「ネットで公表するべきではない」「古参党員として、事態が厳重であることは他の人よりご存知のはずだ」と警告を受けたことまで明かしています。あくまでも「穏やかな態度」だったとのことではありますが……。
■公開書簡
公開文
(多維網掲載分を参照)
尊敬する胡錦濤同志を要とする党中央へ。
我々は中国共産党党員です。一部は建国以前からの古参党員です。我々は東寺革命や国民党との血戦に身を投じたのは、抑圧、搾取、奴隷の悲惨な生活に耐えられなかったからです。
という書き出しで始まる檄文は、共産党に入党して身を捧げたものの、反右派闘争、三面紅旗、文化大革命と悲惨な事件が続いた毛沢東時代を復活させようとする、周永康を解任せよと要求するもの。署名した16人の党員たちも、反右派闘争で何人かやられているそうです。
文革や毛沢東の種々の悪行を真剣に捉えようとしないから、毛沢東思想が指導思想として残り、いつまで経っても薄熙来のような毛沢東時代を美化する輩が後を絶たないと、党中央宛にしては党中央に反省を促す一文もあります。
また毛沢東時代を度々賞賛する、中央宣伝部を率いる劉雲山も左派認定。宣伝部門は保守派が仕切る傾向が強いのですが、建国以来苦難の歴史を歩んできた80過ぎの古参党員には毛沢東時代を賛美する宣伝部は耐えられないのでしょう。
かつて、毛沢東思想を盾に現政権を批判して懲役刑を食らった党員がいましたが、今回はその逆。特に、政治改革を呼びかける温家宝が常務委員会で孤立している事に触れており、「一部の常務委員の政治思想が変節し、道徳が低下し、共産党員としての最も基本的な素質を完全に失っている」と喝破。
署名に名を連ねた16人は、党歴こそ長いもののいずれも中堅幹部止まりだったらしく、影響力は皆無でしょうが、携帯電話の番号を晒すくらいですからそれなりの覚悟はあるのでしょう。こういううるさいジジイが政治局委員クラスからも現れてくると面白いのですが。
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