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一人称がボクとかオレの日本人女子は実在するのか?中国人オタクの議論(百元)

2012年05月31日

■中国オタク的疑問「僕とか俺を使う女性って現実に存在するの?」■

*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年5月23日付記事を、許可を得て転載したものです。


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タイトルなし / rombocket


■日本語の一人称ってどうよ

アニメや漫画をきっかけとして、日本語に興味をも持ったり、学んだりする中国オタクは少なくありませんが、「アニメや漫画で使われている日本語が現実の日本ではどうなのか?」という疑問を感じたりすることもあるようです。

そんな、疑問の中で中国オタクが比較的混乱しやすいモノに「日本語の一人称の使い方」というのがあるそうです。
アニメや漫画の中に出て来るキャラは様々な一人称でキャラ付けが行われていたりしますが、中国語の一人称は基本的に「我」だけなので、いくつもある日本語の一人称の使われ方については悩んでしまうこともあるのだとか。

更に、普通に日本語を学ぶ中で覚える「私」「僕」「俺」といった一人称に関しても、男性の一人称であるはずの「僕」「俺」をアニメや漫画の中では女性キャラが使ったりしていますので、余計に混乱してしまうようです。

先日、中国のソッチ系の掲示板で「日本の現実の女性でボクとかオレといった一人称を使う人はいるのか?」ということについてのやり取りを見かけましたので、今回はその辺についてを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

日本のアニメや漫画、ゲームなんかでは「僕」とか「俺」を使う女性キャラってめずらしくないよね。しかし、「僕」とか「俺」を使う女性って現実に存在するの?

仕事で知り合った日本人の中に女性がいたけど、普通に「私」を使っていたな。あれはよくある創作の中だけの話と思っていいのかね。

普通はいないだろ。あれは二次元の中だけのもの。

……ホントに、いないよな?私も以前はそう確信していたんだけど、最近ちょっと不安になってくる。
俺は日本でもごくたまに「僕」や「俺」を使う女性がいると聞いた覚えがあるんだが……

「俺様」なんかと一緒で、無くは無いけど基本的には創作上における使われ方って所なんじゃないの?
二次元の中だけってことはないんじゃないんだろうか?自分の曖昧な記憶なんだが、昔見た「おしん」の中でも、確か「おれ」や「ぼく」を使う女性キャラがいたように思う。

自分が日本語を勉強した時は、男女共に「私」を使うのが安全だと教えてもらったけど、「僕」に関しては男性だけということだったな。

前に日本語の授業で、女子が「僕」を使って先生に注意されてたわ。

私は女なんだけど、「ぼく」というのを使っても問題ないなら使って見たいと思っている。ただ、女が「ぼく」というの使った場合どう見られるのかハッキリしないので躊躇している。以前聞いた話では、「女が僕と言うのは珍しいけど、最近は特に問題視されるわけではない」ということらしいんだけど……

女性歌手の歌の歌詞にはわりと頻繁に「ぼく」が出て来るよ。自分は女性も「ぼく」というのは普通にアリな使い方だと認識している。

今の日本の若者の口語は男女の違いがどんどん無くなってきているという話だから、一人称に関してはそれも影響しているんじゃないかな。あと、日本語は文章上はあまり男女の差は無いけど、口語ではかなり男女差が出る。「ぼく」や「俺」といった男性化された一人称は使わない方が良いよ。

とりあえず、敬語を使うような時は女性が「ぼく」「おれ」と言うのは絶対にダメ。それ以外ならわりと問題ない。

そもそも、あの「ボク」を使うキャラってどういうカテゴリにいるキャラだと受け取ればいいんだ?「オレ」の場合は乱暴だとか男勝り的なイメージだと分かるんだが、「ボク」の場合はどうもハッキリしない。

確か「ぼく」は男の子が喋る一人称という扱いだったと思う。日本では一般的に男の子が「ぼく」を使って、大人になったら「わたし」や「おれ」になる。

「ぼく」は一応女性が言っても問題は無いらしいけど、相手に「男の子っぽい」「子供っぽい」印象を与えるらしい。私の日本語の先生はそう言ってた。

私の日本語の先生によれば、「俺」は使うと相手に粗暴な印象を与えてしまうので絶対に言わない方が良いということだった。それと比べれば、「僕」の方は相手に与える印象が少々変わるものの、「俺」に比べればまだ女性が言っても大丈夫な範囲らしい。ただ、ちゃんと日本語を学ぶつもりなら女性がこの使い方をするのはやめた方がいいとも言っていたね。

現在の日本の女性の間で「ぼく」が使われるのには、これによって自己の「強い姿勢」を表現できるという面もある。ただ、相手が無礼に感じることもあるので、普通は使わない方が無難。それと、女性が「僕」というようになったきっかけは明治維新以降の男女平等運動からということだ。

翻訳していても感じるんだけど、日本の作品の口調と一人称によるキャラ付けは、中国語と相性悪いよね。中国語が母国語だと使う上での感覚が理解し難いし、説明し難い。

日本には「俺女」というのが現実に存在するらしいし、「僕」に関しても全くいないわけじゃないんじゃないかな。それからこの「俺女」というのは、オタクの女性に発生する、ある種の中二病みたいなものっぽい。ネットで調べた限りだし、自分の日本語能力もあまり高くないのでイマイチ確信が持てないけど……

やはりこの辺の概念については難しいな。中国語だと「我」、英語でも「I」だけなのに日本語はとても多くの一人称が存在して、しかも男性と女性、相手と自分の関係、更には時代などで用途が分かれる。こればっかりは自分の感覚と知識で感じ取るしかないのかもしれない。アニメや漫画では「ボクっ娘」というのは萌えの一ジャンルとして確立されているくらいなんだが、その萌えの感覚を中国語で説明するのは極めて困難だ……

とまぁ、こんな感じで。中国オタクの多くは一般の中国人よりも日本の風習や文化に関する知識が深いのですが、それでもこの辺の感覚的なモノに関することとなってくると、難しい所があるようです。

日本のアニメや漫画ではわりとよく見かけるものであっても、いざ考えてみるとアニメや漫画の中だけでなく、現代日本社会の習慣、更には方言における一人称についても関わってきますし、考えた挙句にこんがらがってしまう中国オタクも結構いるようです。

まぁ、日本にいて外国のことを想像するときにもこういったとはありますし、この辺はどこの国でも似たようなことになるのかもしれませんね。とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年5月23日付記事を、許可を得て転載したものです。

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