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官制メディアVS官制メディア=「適度な腐敗を許すべき」環球時報社説を中国青年報が批判(水彩画)

2012年06月01日

■話題の環球時報社説に胡錦濤が反論■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年6月1日付記事を許可を得て転載したものです。



■官制メディア同士の内輪もめ

環球時報の「中国の適度な腐敗を許さなければならない、民衆は理解するべきだ」社説について書くつもりが、モタモタしてたら金鰤に先に書かれてしまったので、中国青年報の反論について。
(関連記事:「官僚の適度な汚職は許すべき」?!環球時報の大胆すぎる社説が話題に―中国 

制度と民主でしか腐敗は根絶しない
中国青年報、2012年5月31日

腐敗に対する有効的なコントロールはいまだ出来ていないが、中央の反腐敗に対する決心は固く、中央の指導者は様々な場所で腐敗に対しては容赦しないと強調している。

腐敗に対する容赦の無い態度は、この時代の不変的な価値であり、社会の共通の価値観でなければならない。しかし、メディアは社説で回りくどく「民衆はある程度の腐敗を認めるべきだ」と支持している。

環球時報は先ごろ、「反腐敗は中国社会発展の厄介な問題」という社説を発表したが、見出しは腐敗を批判しているものの、社説は官僚用語、紋切り型、嘘、絵空事ばかりで、唖然とさせるような理屈を見つけることが出来る。

例えば、「腐敗は如何なる国家でも完治できず、カギは民衆の許容の範囲をコントロールする事にある」「民衆は中国が腐敗を取り締まることが出来ない現実的で客観的な事実を理解し、国家全体が痛みに苦しむ迷いへと陥ることを避けなければならない」である。

といった、いかにも胡錦濤の建前が反映された面映さ全開の内容が続きます。環球時報の社説が異常なのは誰が見ても明らか。「反法治で常識に反する論調」と、環球時報の社説を強く否定しています。

中国青年報は、胡錦濤の出身母体である中国共産主義青年団の中央機関紙であり、官制メディアの一つ。官制メディア同士のバトルという珍しい展開になっています。


■環球時報様がお怒りです

さて、上述金鰤記事が伝えているとおり、環球時報の社説は「反腐敗は中国社会発展の陣地攻撃戦」とのタイトルだったのを、ポータルサイト・騰訊網が見出しを「民間は中国の適度な腐敗を許すべきだ」と書き換えて転載して騒ぎになりました。このタイトル書き換えに環球時報が何故かマジギレ。

20120601_写真_画像_環球時報

環球時報時報の昨日(29日)の社説は、タイトルが「反腐敗は中国社会発展の厄介な問題」でしたが、騰訊網が転載した際にタイトルを「中国の適度な腐敗を許し、民衆は理解するべき」と悪意を持って改変し、読者をミスリードした。

環球時報に対しては批判を加えても構わないが、この手の改ざんが受け入れられれば、中国世論における大きな不幸である。全国のネット編集者は左右の別なくこの手のやり方から離れるべきである。

騰訊がタイトルを変更しようとしまいと、それほど誤読した読者はいないかとおもいますが、騰訊は詫びを入れており、その顛末を環球時報が勝ち誇ったかのように報じています


■時代週報が北京日報に謝罪

また別件ですが、広東省の週刊誌『時代周報』が北京市党委員会の機関紙である北京日報に謝罪を入れています(RFI中文)。時代周報も騰訊も南方報業出身者が多いメディアですが、その両者が相次いでお堅い党機関紙に相次いで謝罪するという嫌な事態。

環球時報の論調が保守的なのはご存知でしょうが、北京日報も目立たないだけで環球に近い論調の新聞で、総書記は最高職務であっても最高指導機関ではない」と公然と胡錦濤にケンカを売った事もある新聞です。

胡錦濤が南方に味方、というよりは明らかに党中央の建前に反する環球の社説を、まず潰しておく狙いがあるのではないでしょうか。ただ党機関紙が追従してこない辺り、胡錦濤が党内を掌握しているとは言いがたいですね。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年6月1日付記事を許可を得て転載したものです。    

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