2012年6月1日、NHKワールドが中国マイクロブログ・新浪微博に開設したアカウントが、天安門事件関連のつぶやきにより発言禁止処分を受けた。NHKアカウントは発言禁止処分にひるむどころか、「外交部定例記者会見で質問するっ」と表明するなど、果敢に立ち向かう姿勢を見せている。
■NHKアカウントの問題発言
天安門事件23周年を3日後にひかえた 6月1日、NHKアカウントは以下のつぶやきを発言した。
【天安門事件遺族、真相解明を要求】今月4日に天安門事件から23周年を迎える。31日、事件で子どもを失った母親121人は連名でネット声明を発表。真相を解明し責任を追及するよう政府に要求した。中国政府は「すでに結論は明らか」と繰り返し表明している。すなわち事件は一部学生らによる「暴乱」という評価であり、再評価するきざしは見られない。
6月1日18時7分
【陳光誠、中国の民主化推進を要求】陳光誠はニューヨークで米国到着後初となる講演を行い、中国が民主化を進展するよう再度要求した。「中国はアジア諸国の民主主義の経験を学び、同時に自身の民主制度を推進するべきだ」と発言している。
6月1日17時41分
【天安門事件遺族、真相解明を要求】今月4日に天安門事件から23周年を迎える。31日、事件で子どもを失った母親121人は連名でネット声明を発表。真相を解明し責任を追及するよう政府に要求した。
6月1日17時38分
■NHKアカウントの抵抗
上記発言はすでに削除されているほか、新たな発言もできない状況だ。しかし画像のアップやデザインの変更は可能。
まず通知欄には「NHKは発言を禁止されました。投票欄下のリンクからNHK華語ニュースの閲覧をご覧ください。中国を知るにはまずNHKから」と書かれている。
さらにトップには大きく2枚の画像が交互に表示されている。うち1枚は発言禁止の原因になったと見られるつぶやきを記録した上述キャプチャー画像。そしてもう1枚がこちら。
「NHKは微博で発言が禁止されたことについて、まもなく中国外交部定例記者会見で質問いたします」という挑発的なもの。なお6月2日の中国外交部定例記者会見記録はまだ公開されていない。
他にも
「中国のインターネットはオープンだ。なに?」
(納尼は日本語の「なに」の音訳。確かナルトかブリーチか、マンガ経由で中国に広まったはず。「なに?」「まさか?」とか驚いているシーンが多いので覚えてしまうのもむべなるかな。)
「NHKアカウントは発言を禁止された。
どーもくんアカウントも発言を禁止された」
■ニセ垢?担当者の暴走?それとも……
ここまでアグレッシブな姿勢を見せていると、「本当にNHKのアカウントかいな」との疑問が生まれてくるが、過去の発言やらデザインはしっかりしているし、なにより新浪微博の企業認証アカウントになっている。となると、これは本物のNHK公式アカウントなのだろうか……。
ニセアカウントなのか、アカウントの運営を任されている担当者の暴走なのか、我らが日本放送協会が果敢に中国のメディア検閲に立ち向かっているのか、にわかに判断がつかない状況。野次馬的にワクテカしながら注目したい。
追記
コメント欄で教えていただきましたが、NHKの新浪微博アカウントですが本物だったもよう。すでに閉鎖されて騰訊微博に移行したようです。それにしても誰が挑発モードでつぶやいていたのか、気になるのですが……。
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ついたーの公式垢の発言スタイルに似ってますが、何か中国語のニュアンスがイマイチ微妙。。。まぁ、現段階静観しかないかなぁ