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国家安全監督総局局長の解任=薄熙来事件の余波か―中国(水彩画)

2012年06月04日

■駱琳解任も薄熙来の影響?■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年6月2日付記事を許可を得て転載したものです。


Bitter Melon and Squid Stir Fry
Bitter Melon and Squid Stir Fry / avlxyz

*中国語では「炒鱿鱼」(イカ炒め)でクビを意味する。火を通すとまるまる様子が布団をたたむ様子と似ていることから、マイ布団を持って出ていく=解雇という連想。

■薄熙来事件の余波でまたも解任……か

国家安全監督総局の駱琳局長。名前と肩書きを見て、誰だかお分かりになる方はそういないでしょう。安全監督総局は国家安全生産監督管理総局が正式名称で、炭鉱事故が発生した場合によく名前が出てくる部門です。昨年7月に浙江省温州で起きた特大列車事故でも、雲隠れした張徳江(政治局委員、国務院副総理、重慶市党委書記)に代わって、現場の救助を指揮していたのが駱琳であります。

その駱琳が安全監督総局局長を解任されたのですが、どうも薄熙来絡みのようなのです。
(参照リンク:国家安全監督総局局長辞任は薄熙来事件に関連か(RFI中文、2012年5月31日))

2009年6月に重慶市武隆県で発生した崖崩れ事故で、崖崩れが起きやすい地層のため石炭採掘は禁止地域となっていたものの、じっさいは100以上の闇炭鉱が所狭しと穴を掘っていた状態だったそうです。駱琳は安全監督総局局長として現地に赴き、救援の指揮と調査を行ったのですが、薄熙来の歓心を買うために闇炭鉱の存在を隠し、事故を「土砂崩れという地質災害である」と結論付けていました。

薄熙来とは彼が遼寧省長だった頃の部下(省委常務委員)であり、見知らぬ中ではありません。遼寧省委副書記に昇格した後、2008年12月から安全監督総局局長に転出しています。ただ、閣僚級に過ぎない駱琳レベルで事故原因の隠蔽を指示出来るかは疑問です。隠蔽自体は党中央の承認を得ていたものと考えられますが、薄熙来に近い人間の洗い出しがあって全責任を負わされたということなのでしょうか。

ベテラン記者が微博で、というのが大元のソースなのもいささか不安は残りますが、薄熙来事件ではその微博での情報が事実だった事が何度もありましたので、無視は出来ないのです。


■深読みできる公式記事

国家安全監督総局主要指導者調整(新華社 2012/5/29)

ただし傍証もあります。トップ交代の公式記事には、いつもヲチャーを深読みさせる、「另有任用」(別途任用する)という4文字がないのですよ。最近では薄熙来がそうでした。

薄熙来と異なるのは、トップ交代が宣言された会議には、駱琳も出席していた点ですね。ただ毛小平・江蘇省無錫市党書記という例もあります。トップ交代の会議に出席。「另有任用」の4文字も頂き、実際に捨扶持ではあるものの官職を頂いたということで、セーフと見られていたのがあっという間に双規を受けた例もあるので、安全とも言えない。まあ、現状ではよく分からんというのが本音です。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年6月2日付記事を許可を得て転載したものです。 


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