中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年06月04日
20100328_Japan_S_363 / Sonia From Marseille
中国では日本のアニメや漫画が大人気となり、若者の基本的な娯楽の一つになっているくらいの状態ですが、そういったことに関して「なぜ日本のアニメや漫画が人気になったのか」「なぜアメリカのアニメや漫画ではなく、日本の作品が人気になったのか」と疑問を感じる中国オタクがいたようで、中国のソッチ系の掲示板ではこの辺りのことに関するやり取りが行われていました。
そんな訳で、今回はその辺についてを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
■中国人オタクの疑問
唐突に思いついた疑問なんだが、なんでウチの国では日本のアニメや漫画がこうも人気になったんだろう?人気になった理由は私にもある程度分かるけど、疑問なのは「なぜそれが日本の作品だったか」「なぜアメリカの作品ではなかったのか」ってことだ。資本力、複数メディアへの展開、海外展開等どれもアメリカの方が日本より上に思えるんだが。
それは確かに不思議かも。ウチの国のテレビでアニメが入り出したのは80年代の終わり頃からだったけど、最初は「トランスフォーマー」を中心にアメリカのアニメの方が存在感があった。しかし、90年代ごろ、恐らく「聖闘士星矢」からだと思うんだが、どんどん日本のアニメの方が強くなっていったっけ。
中国国産もアメリカ産も「子供向け」な作品は優勢でも、「青少年向け」な作品に関しては日本の方が優勢だったからじゃないか?ウチの国の第一世代のオタクはみんな10代の前半に、日本の作品にハマってオタクになっている。それくらいの年代からしたら、「聖闘士星矢」や「ドラゴンボール」にはハマれるけど、子供向けの動物アニメにはもうハマれなくなる。
80年代から90年代にかけては、アニメや漫画だけでなく生活用品や家電なんかまで含めて様々な「日本のモノ」が入って来てたから、その影響もあるんじゃないか?その頃って、アメリカ関係はまだそれほど動きは無かった時代だし。
文化的な差によるものじゃないかな?ウチの国の人間にとっては、文化への理解や、価値観、社会的な関係などに関して日本の作品の方が受け入れやすかったのでは。
いや、最初に流行ったアニメはアメリカの「トランスフォーマー」だし、その辺りは大きな問題にはならないんじゃないか?それに自分は日本のアニメや漫画を見ていて文化の違いを感じることも少なくない。近年ウチの国でヒットしているハリウッド映画も、アメコミ原作のが多い。アメリカの文化の作品だから人気が出ないってことは無いだろ。
「ウチの国へ入る難しさ」ってのがあったんじゃないか。当時はアメリカ関係はわりと難しい所があったし。最初の頃ってわけじゃないけど、ユーゴスラビアの中国大使館誤爆事件が起こった時なんか、すぐに西側関係のアニメ作品の放映が中止になったし。
輸入審査や放映管理なんかの他にも、純粋にコスト的な所も影響していたんじゃないだろうか?ウチの国は90年代頃までは個人所得がかなり低い。テレビ放映に関してはテレビ局同士だからいいとしても、漫画が広まるのはどうしても海賊版中心になる。アメリカのカラー漫画とか、当時のウチの国で広めるのは難しかったと思う。
実際、日本製以外のアニメも人気になったりはしているんだよね。アメリカ以外の国のアニメも少なくなかったし、当時は日本のアニメ一強ってわけでもなかったはず。でも、気が付いたら日本のアニメが強くなっていた。確かにちょっと不思議だ……
私は「意識」の問題が大きいと思う。日本のアニメや漫画って、「アジア的」「東方的」な部分が欧米の作品に比べて大きいので受け入れ易いというのはあるんじゃないかな。
アメリカのハリウッド方式は映画産業に関しては最強かもしれないが、アニメや漫画産業に関してはそれとはまた別だからだろう。最近はアニメ映画やテレビドラマやゲームなんかにもハリウッド的な手法と人材が入ってきて威力を発揮しているけど、当時はまだそういう動きも無かったしね。
テレビでやっていた「G.I.ジョー」にハマっていた子供時代を過ごした自分としては残念だが、この手の人気の広がりの差に関してはキャラクターデザインの影響を感じてしまう。欧米のキャラデザとアジアのキャラデザを見比べると、好みが明らかに違っている。
海賊版にするコストの差とかがあったし、海賊版ルートで提供されるコンテンツの量に差があったんじゃないかね。あまり誇れる話じゃないが、当時のウチの国における日本の漫画の広がりには海賊版の影響は無視できない。
確かにアメコミは荒い白黒印刷には向いていないから、当時のウチの国の海賊版漫画だと難しかったろうね。カラーにしたり、高品質な印刷にするといくら海賊版でも単価が高くなって、普及は難しかったろう。それと一時期、日本の漫画をメインにした貸し本屋とかもあったよね。自分はそこでかなりの量の名作をまとめて読んだよ。
昔のことはともかく、最近の作品に関して言えば「日本の方が作品に関して比較的良心的」だからファンがついているってのもあるんじゃないか?アメリカも日本も作品の商業化がスゴイけど、アメリカの方がヒドイ。作品が売れたら続編をどんどん作って、超展開を繰り返した挙句にグダグダに終わったり、開始当初の重要で根本的な設定を覆すなんてこともあっさりやる。日本の作品にもそういう所はあるけど、ある程度の所でちゃんとキレイに終わらせるんで、安心してファンでいることができる。
俺達がアメリカのアニメや作品に関して語るときはせいぜい数十くらいの作品しかないけど、日本ではそれくらいの数の作品が毎年出てきている。しかも、作品の中身に関しても様々な内容のものがあるから、見る方は自分の好きなモノを探せる。個人的には「アメリカのアニメや漫画」と「日本のアニメや漫画」で見た場合におけるファンの増加の差が出たのはそこが大きいと思う。
俺のアメコミへのイメージって、スーパーヒーロー系の作品で止まっている。日本の漫画に比べると題材の広がりが少ないというか。あと今映画化されている作品を見ても分かるけど、アメコミの作品って昔人気になった作品のキャラの利用が多い。版権キャラを有効活用して活躍させるのはいいけど、あまりにも同じキャラを引っ張り過ぎている。あれでは新規のファンを取り込むのって難しいんじゃないかな。
私もアメコミの体制って新しい層を取り込むのにはあまり向いていないように思う。だからウチの国では広い層のファンを獲得できなかったんじゃないかね。もちろん、日本のアニメや漫画の作品が大量に淘汰されて、キャラが次々入れ替わるってのにもマイナスの面はあるけどね。ただ、日本のアニメや漫画の場合「自分の好みに合う」作品に出会える可能性が高くなると思う。
アメコミはスーパーヒーローモノが大部分を占めているからなぁ……アレは過去に規制を受けたせいだけど、ウチの国の業界の状況を見ると、過去のアメコミと同じ方向に流れてしまうのではないかと心配になってくる。
最近の「バットマン」や「ウォッチメン」みたいに「深みのある」作品は出ても、カテゴリで見れば結局ヒーローモノなんだよね。日本のアニメや漫画もヒーローが活躍するバトル系の作品は強いけど、それ以外の様々なジャンルで面白い作品が出ている。カバーできる分野の差は大きいだろ。
とりあえず自分としては少女漫画による影響は無視できないと思う。ヒーロー系の作品はどうしても男子がメインになってしまうが、少女漫画があるとファンになる層が倍になる。
あとはカバーできる年代の幅の差かなぁ。アメリカのアニメや漫画って上の方の年代でも楽しめるような作品が少ないように思う。日本のアニメや漫画は、歳をとればとるほど選択肢が広がるように感じるんだよね。
改めて昔からの作品の流れを追ってみたが、日本のアニメや漫画って日本国内の市場競争があるからまさに「百家争鳴」って感じだよね。アメリカは大企業が業界をほぼ独占しているから競争が起こらないものの、大資本による展開が可能だし、版権キャラクターがずっと活用される。
アメリカのやり方が日本より劣っているってわけではないんだろうけど、当時の独特な中国社会に入るのには向いていなかったってことなんじゃないかね。
それをふまえた上で意見させて頂きますが。
私が思うに、この記事以外にも理由があると思います。
ひとつにはシンプルに作品自体が優れている。
シナリオ・作画などどれをとっても一級品が多い。
あと、聖闘志星矢などの作品に象徴される人間の気高さ。
昔の中国にあり現在の中国に欠けているものでキングダム・三国志・梁山泊などを読むと、いかに昔の中国人が偉大であったが感じる取れかと思います。
さらに悪役に関しても魅力的でw私が一番好きなキャラクターはサガです。
他にもありますが日本の漫画は昔の中国人の気高さを思い出させるのに最適な本かと思います。
長文失礼しました。