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一般人を「入宅」(オタク化)させるのにオススメの作品ってなによ?中国人オタクの議論(百元)

2012年06月05日

■中国オタク的「一般人をオタクに引き込める作品」■

*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年5月27日付記事を、許可を得て転載したものです。


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Otaku Encylopedia Launch - 24 / Steve Nagata


以前の記事「中国オタク的「布教活動」」で、中国オタクの面々の「好きな作品を他人に薦める」ことについてを紹介させていただきましたが、その記事に関してありがたいことに「一般人をオタク趣味にハマらせようとする場合はどうなのか?」という質問をいただきました。そんな訳で、今回はそれについてを。

中国オタクも、自分達の仲間が増えるのは嬉しいと思っているようで、時たまオタク分野に興味が無い人間にアニメを見せてその道に引っ張り込もうとしている模様です。

中国オタクの間では、オタクの道に踏み入れることを「入宅」と言っていたりするのですが、中国のソッチ系の掲示板でそういった「一般人を入宅させるためにはどんな作品がいいか?」といったことについてのやり取りを見かけましたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

オタクの仲間を増やしたい。求む。「入宅」させることのできるアニメ。

アニメをどのくらい見るか次第のような気もするが、とりあえずアニメに拒否感は無いと考えていいんだよね?だったら「銀魂」がいいんじゃないかな。男女ともにいけると思う。

「アニメを見てもいい」的な態度の人なら、ライトな方向性で面白い作品なを薦めればそれなりになんとかなると思う。むしろ気を付けなければならないのは、こっちが熱心になり過ぎて最初からアレもコレもと薦め、要求し、相手がドン引きしてしまうこと。

最初は軽めの作品が良いんじゃないかな。コメディ色の強い学園モノとか、癒し系とか。

癒し系はちょっと難しくないか?個人的には、「とらドラ!」とかは多方面で「入宅」を薦められる作品だと思う。

うーむ……オタクの空気ということなら、「らき☆すた」辺りじゃないかな。あと最近なら「キルミーベイベー」がわりと初心者を引き込んでいたように思う。

ウチの国におけるオタク人口増加の流れを考えると、定番としては「コードギアス」か「涼宮ハルヒの憂鬱」って所かね。あと、もう少し前だと「鋼の錬金術師」辺りか?

女性に薦めるなら「ヘタリア」と「世界一初恋」だと言ってみる。

「ヘタリア」はともかく、「世界一初恋」は上級者向けだろ。そっちは腐る方の勧誘だ。

最近感じたんだが、なんでもかんでも引き込めばいいもんじゃないと思う。ある程度薦める作品は考えるべき。「ヘタリア」を薦めたら、モノスゴイ勢いで「腐って」いってしまったのにはちょっと責任を感じてしまう……

女性向けなら「桜蘭高校ホスト部」がいいんじゃないか?ウチの国の女性の「入宅」になったことが多い作品という説もあるし。それか、「フルメタル・パニック? ふもっふ」なんかは男女共にいけるね。

ああ、確かに「フルメタル・パニック? ふもっふ」はいね。知り合いからも悪い評価を聞いたことが無い。それ以外だと「ケロロ軍曹」なんかもいけるか?ただあれは微妙にオタクの前提知識が必要だし、推薦していいのか少々迷う。

いっそ「プリキュア」とかはどうだろう。作品のクオリティは高いし、ウチの国ではヘンにオタクになると、子供向けだと偏見を持ってしまって逆に見なくなる作品だし。

全くアニメを見ていない場合は難しいな。「とある魔術の禁書目録」とか「とある科学の超電磁砲」とか、ちょっと知識が欲しい作品だし。

上で「銀魂」を挙げているヤツがいるが、何言ってんだ。あんなネタだらけの作品、どう考えたってディープなオタク向けだろうが。

「銀魂」はネタ分からなくても楽しめるぞ。しかも、「ネタが分かるようになる」と更に楽しめるので、自動的にオタクの学習が進む優秀な教材なんじゃないかな。実際、知り合いに「銀魂」を薦めてオタクにしたことがある。

しかも、最近のファンサブ字幕はグループによってはネタの注釈つけてくれてるしな。笑いどころが分かるので、ある意味安心。もちろん、字幕でカバーしきれない部分のネタが分かれば更に楽しめる。

自分はCLAMP作品からオタクに入ったので、知り合いにもついその系統を薦めてしまう。ただ、昔の作品はやはり最近の若者にはちょっと難しくなっている。そんな訳で、思いっきり広義上で解釈して、「コードギアス」を薦めることにしております。

いっそ、最初に衝撃を与えて戻れなくするのはどうだろうか?「School Days」や「ひぐらしのなく頃に」辺りで。これを乗り越えてしまったら、もう戻れないぜ。

「入宅」は「布教」と違うのが難しい所だよね。「布教」ならその作品を好きになってもらえば成功だけど、「入宅」だと二次元への興味を持ってもらい、自分から好きな作品を見るようになってもらう必要がある。

ある程度相手の好みを考えて、共感できそうなジャンルで薦めるのがいいんじゃないだろうか?それと、視聴に慣れていないだろうから、長い作品や、開始直後のつかみが弱い作品、キャラデザが微妙な作品、オタクとしての知識が必要な作品も避けた方がいいかと思う。ようはアレだ、いきなり「CLANNAD」を大声で薦めるようなことはやめておけってことだ!!いや、俺も大好きな作品だけど最初がアレってのはキツイぞ!!

熱血系なら特に難しい所がないし、「グレンラガン」なんかはどうだろう?

「グレンラガン」はスーパーロボットの文法への理解がいるし、わりと上級者向けだと思うぞ。実際、薦めた感触は良くない。ガイナックス系なら、「ふしぎの海のナディア」か「エヴァンゲリオン」とかの方がいいと思う。

ちょっと中二的な思想のあるヤツなら、「DARKER THAN BLACK」とか「デュラララ!!」なんかが悪くない。

自分の経験から考えると「スクールランブル」かね。あれの第1期は間口も広く、オタク系の観賞に必要な知識に発展できる基本的な要素を備えているのでかなり良いと思う。

最近の作品で意外な反応というか、「入宅」の結果が出たのは「シュタインズ・ゲート」だった。オタク分野に全く興味が無かった知り合いと話しているときになんとなく作品のあらすじを話題にしたら、その後スゴイ勢いで作品にハマってオタクになってしまった。きちんとしたメインストーリーがあって、続きが気になる作品なんかはいつの間にか引っ張り込めるのかもね。

続きが気になる作品ってのは良いかも。自分の経験でも、「未来日記」や「屍鬼」で入ったのがいるね。あと、女性限定かもしれないけど「彩雲国物語」や「十二国記」など、女主人公で中国の感覚で、ある程度想像できるような要素がある作品なんかも良い反応が出易いように感じる。

まぁ、イロイロと薦めるのに適した作品はあると思うけど、「入宅」を薦めることに関して最も重要なのは「焦らない」ことだと思うよ。俺は仲の良い知り合いとオタクな話をしたいと思って、数年間イロイロと薦めたがあまり効果は無かった。しかし、そいつはいつの間にか、全く薦めたこともない「咲」を見始めていて、いつのまにかオタクになっていた……

とまぁ、こんな感じで。


■中国の若者は「入宅」しやすい?

中国オタクの面々も、仲間を増やすためにイロイロと企んでいる模様です。

ちなみにあくまで私の印象でしかありませんが、中国の若い人は日本の若い人に比べて「入宅」に転びやすい所があるように思えます。趣味の傾向もそうですが、アニメや漫画などのオタク系コンテンツに対する抵抗が日本の一般的な感覚のものよりも小さいように感じられますね。

この辺については、前知り合いの中国オタクから「中国における娯楽がまだ少ない時期に日本のアニメや漫画を数少ない娯楽の一つとして育ったから」だという話を聞いたこともあります。またそれ以外にも、日本のアニメや漫画が「外国製のコンテンツ」「外来の文化」だというのも影響しているといった話なんかもあります。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年5月27日付記事を、許可を得て転載したものです。 

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