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自由、民主、人権の伝統を持つ中華民族文化=馬英九総統の天安門事件コメント―台湾

2012年06月05日

2012年6月4日、天安門事件23周年の記念日であるこの日、台湾の馬英九総統はフェースブックで天安門事件と中国本土の政治改革に関する文章を発表した。中国本土の民主化シンパ・ネット民を意識する態度を明確としている。


黄帝陵26.JPG
黄帝陵26.JPG / *flydog*

■馬英九総統の言葉

今日は「六四」、天安門事件23周年の記念日です。時が過ぎるのは本当に早い。あの年に生まれた子どもたちが今では中国本土新世代の主力となりつつあります。

この20年以上の間に、中国本土の経済は飛躍的な成長を遂げました。人民の生活は明らかに改善し、全般的な競争力も日に日に向上しています。しかし「六四事件」が残した歴史の傷跡はいまだにふさがっていません。国際社会が中国本土に抱く人権についてのイメージも「六四」時代にとどまっています。

中国本土はすでにより多元的で、開放された民主社会を目指す成熟した条件を備えている。華人社会はそう考えています。「六四事件」の処理によって残された傷の痛みは、政治改革の第一歩とすることができます。これこそ歴史の傷口をふさぎ、中国本土当局と人民の距離を近づけ、国際イメージを改善することになろうと私たちは考えています。

民主改革の推進は中国本土内部の安定にとっても助けとなります。中国本土当局が経済の急成長下において、関連した政治改革を採用するのであれば、中産階級の台頭、民間の力の成長後に出現したさまざまな改革の呼び声に応えるものとなるでしょう。中国本土には現在、数億人のネット人口がいます。情報を入手し、伝播する速度は親の世代をはるかに超える驚くべきものとなっています。台湾総統選の議論から陳光誠事件の進展まで、中国本土ネット民は情報をしっかりと把握し、自分たちの見方を示してきました。中国本土当局がこの流れに従い、政治参加の拡大・人権保護の整備・異見分子への待遇改善を進めれば、人民の改革に対する期待に答えるだけではなく、中国本土の持続的な政治の安定の助けになると確信しています。

中台人民は同じ中華民族、炎帝黄帝の子孫です。ともに先賢が残した貴重な文化遺産を受け継いでいます。、「子産不毀郷校(為政者は異を唱える人の意見を封じず、耳を傾ける)」、「天下為公(天下は為政者のためにあるのではなく、公民の為にある)」「仁民愛物(為政者は民に対して仁の心で接し、万物を大切にする)」「選賢與能(賢く有能な人物を選出する)」「民貴君軽(民を貴しとなし、君を軽しとなす)」などの自由、民主、人権などの(中国伝統が含意する)進歩的観念は、重視し残すに値するものでしょう。

もう一度強調します。私たちは中台が過去4年間で作り上げてきた平和的発展の局面を貴重に思い、この種の良性の相互作用が続くことを期待しています。もちろん中台は民主主義・人権の分野で際があります。この種の際は中台の深い交流のためには必ずや克服すべき課題でしょう。思うに、台湾の民主主義転換の経験は、民主主義が中華文化の土壌に根を下ろせることの照明です。私たちは中国本土の民主主義・人権が進展できると深く期待しています。将来において、中台は中華文化の基盤の上に、民間団体を通じた民主主義的統治・人権擁護などの分野で交流できるでしょう。今後も私たちは津動く本土の民主主義・人権の発展に対して、善意の関心を抱き続けます。これこそ中台人民の心理的距離を縮める最も有効な道でしょう。

*翻訳してから気がついたが、中華民国駐外単位聯合網駅に日本語訳が掲載されていた。故事成語の日本語訳は同サイトを参照した。


■中国本土ネット民を意識する馬英九

再任演説でもそうだったが、中国本土のネット民を強く意識した論調となっている。天安門事件記念日などにお小言をいうのは以前からの通例だが、「ネット世論」を強く意識した方向性が打ち出されたのはきわめて最近のトレンドではないか。

人気作家・韓寒がブログで「ウソっ、台湾人の民度高すぎ」と驚いた文章を代表的な中国本土ネット民の台湾イメージ、すなわち「華人社会の民主主義パラダイス・台湾」というイメージに乗っかっていきたいという戦略だが、どこまでの実効性を持つのか。そして、政治面での中台交渉が具体化する第二期馬英九政権・習近平政権にどのような影響を及ぼすのか、気になるところ。

また民進党の「台湾独立」ラインとは明確に一線を画す、「中台は同じ中華民族、炎帝・黄帝の子孫」という主張も再任演説に続いてとりあげられたが、このスローガンがどれだけ台湾での支持を得られるのかにも注目したい。

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 コメント一覧 (1)

    • 1. 啊啊男
    • 2012年06月06日 21:36
    • 大陸側の人民も、ちょっと民主的になろうものなら、民主の起源は中国とか言い出しそう。

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