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2012年06月11日
Chengdu Taxi / sanfamedia.com
■親戚を送る=闇タクシーってマジ?!
5月25日、泰興市に住む潘さんはめいの夫・陳さんを南京空港まで車で送った。到着後、陳さんはお礼を言うとともに高速代とガソリン代として650元(約8450円)を支払った。これをめざとく発見したのが南京市交通運輸局の職員。闇タクシー(無認可タクシー)だとして罰金8000元を請求した。
親戚を送ってガソリン代をもらっただけで罰金とはあまりにもひどい話。潘さんは抗議したが、「潘さんにタクシー営業資格はなく、また金銭の授受も事実。となれば、摘発には根拠があり、正しい手続きにのっとったものである」と当局は反論している。
■張軍事件と釣魚執法
日本同様、中国でもタクシーは許認可事業で各自治体ごとに台数は制限されている。 地域によっては車両価格よりもタクシー資格のほうが高いこともある。ゆえに営業権の取得が不要な闇タクシーはいまだに人気商売となっている。
正規のタクシーが捕まらない時にはありがたい存在の闇タクシーとはいえ、料金などでトラブルが多いのも事実。また正規のタクシー運転手からはメシのタネを奪う存在としてうとまれている。
当局も闇タクシー取り締まりを続けているが、しばしばそのやりすぎが問題となっている。 その象徴とも言えるのが2009年9月の張軍事件。被害にあったのはサラリーマンの張軍さん。「おなかが痛いので病院に行きたいのです。車に乗せてもらえませんか」と言ってきた通行人を車に乗せてあげたのだが、実はその通行人は「おとり」。車に乗り込んだところで、隠れていた警官が飛び出してきて、張軍さんは闇タクシー容疑で捕まってしまった。
この「釣魚執法」(おとり捜査)は1992年から続いてきた伝統的捜査手法、警察が摘発目標を達成するための切り札なのだという。驚くべきはおとり役の通行人は警官ではなく、民間の協力者だという。1人を罠にはめるごとに500元(約6500円)の報酬を得ていたという。
この事件は大きな反響を呼び最終的に警察の謝罪という結果に終わったが、目標達成のために警察がいかにあこぎな手段をとるか、強烈に印象づける事例となった。
■あこぎすぎる警察
今回の潘さんの一件でも、南京市当局は「法は厳格に運用しなければならない」と自らの正当性を主張しているが、人々に与えている印象は釣魚執法の再来、罰金をむしりとるための言いがかりといったところだろう。
潘さんは行政訴訟で無実を訴える可能性も示唆しているが、「親戚を送っただけで闇タクシー」事件もまた、本物の闇タクシーは野放しなのに罪のない市民だけが割を食うひどい話として記憶されることになりそうだ。
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