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日本のバトル漫画に中国人オタクが疑問!主人公の強さ=血統ってちょっと……(百元)

2012年06月14日

■中国オタク「日本の作品の主人公の強さって、結局は血統で決まってない?」■

*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年6月4日付記事を、許可を得て転載したものです。


火影忍者小粉絲
火影忍者小粉絲 / IMG_D

主人公が戦いの中で強くなる、強さを見せるというのはアニメや漫画における爽快なシーンですが、その強くなる理由について、「キャラクターの血統」といった背景が関係することは結構多いかと思います。

中国オタクの中には「強い理由が血統」ということについてちょっと考えてしまうのもいるようで、中国のソッチ系の掲示板ではこの辺についてのやり取りが行われていましたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国人オタクの議論

改めて考えてみると、日本の作品の主人公の強さって、結局は血統で決まってない?強いキャラはみんな「良い血統」という背景がある。主流な少年漫画を見てみれば、ルフィもナルトもゴンも一護もリクオもハッキリと血統による強さとなっているし、コナンなんかでも同じ分野で優秀な親の才能を受け継いでいる。更には、「バクマン。」でさえも一応ジャンプ連載でアニメ化までされた漫画家が叔父だったりする。こうやって見ると、日本の作品は本当に血統を重視しているように思えて来るんだが。

そういやそうだ。少年漫画系で純粋な「天賦の才」ってかなり珍しいかもしれない。優秀なキャラには、優秀な血統が背景としてあることが多いね。ここまで多いと、この設定が日本人の感覚独自の強い説得力を持っているのではないかと考えてしまう。

最近のジャンプ系作品だと「べるぜバブ」の男鹿が血統関係ないかな。一応姉がスゴイ存在ではあるが、両親なども含めて血統により才能を持つキャラとは明らかに違うし。

ジャンプ系だと、「るろうに剣心」が血統による強いキャラってのが出てないね。ただ、あれは時代設定的に明治維新というそれまでの封建体制が崩壊した時代と関係するから血統重視のキャラが出ていないのかも。

少年漫画の範疇ではないけど「ベルセルク」のガッツは血統とか全く無いキャラだね。言われてみればああいうのは珍しいかも。

日本のアニメは昔からそうだぞ。お前ら「一休さん」が単なる片親しかいない子供だと思っているのか?一休は南朝系天皇の私生児で、出家しなければ大きな問題になっていた。それと単なる寡婦だと思われていることの多い母親も藤原氏の血統だから、一休はスゴイ血統のキャラということになる。

「聖闘士星矢」なんかは血統によって戦闘力が決まらない作品じゃないか?主人公達は基本的に孤児だし。

アニメ版の設定にはないけど、原作だと主役の5人も含めて最初に出て来る青銅聖闘士は全員財団総帥の城戸光政の子供だ。そもそも、「聖闘士星矢」は血統よりも強力な「前世」という背景を持っている。

俺が日本のアニメ漫画史上最強だと思う「血統」は沢越止の血統だな。伊藤誠からさかのぼってみたけど、ありゃマジでスゴイとしか言いようがない。

全てが血統によるものではなくても、本人の努力や師匠的存在、育った環境、過去の経験と同じかそれ以上に重要なものだったりすることは多いかも。それから血統と背景があると話が作り易いのかもね。伏線にもできるし。

正直、修行で強くなったりはするけど強くなれた理由が結局は血統による能力ってことだと、なんとなく冷める時がある。

その辺については見せ方も重要なんじゃないかな?例えば横島忠夫なんかは、一応親はそれなりの地位や能力はあるけど、本人の生活や戦闘力とはほぼ関係ない。陰陽師という前世もあるけど、本人の現在の能力と関係するようには見えないので、「血統のあるキャラ」とは思えないし。

日本は伝統を重視する国だから血統も重視するんだろうけど、その辺の感覚はウチの国とは違うっぽいね。ウチの国も伝統文化は重視しているとは思うが、こと血統に関しては日本に比べて重視していないのかもなぁ。

そりゃまぁ、昔から「王侯將相寧有種乎」なんて叫ぶ農民が出るくらいだしな。ただ陳勝と呉広も扶蘇と項燕を詐称したし、ブランドというか口実としての血統はそれなりに重視されている……のかな?いやでも、扶蘇と項燕の当時の扱いを考えると血統よりも英雄を持ちだしたって感じだしなぁ。

ウチの国では血統とか言い出すとゴタゴタするからね。そもそも民族関係でさえ「純粋な漢族」とか定義できなかったりする。燃え上りたい人はいるかもしれんし、「中華民族伝統文化」とか文化的な伝統は大好きだけど、ちゃんと血統とか考えだすとかなりめんどくさいことになるんだよな。

血統か……特に印象的なのは「NARUTO」かな。ロック・リーはどうすればいいんだ……

「ハヤテのごとく!」は、逆に親がマイナス過ぎる。あれであんな完璧な主人公が出て来ると逆にネタとして面白いな。

ジャンプ系なら桜木花道……と思ったが、あれはバトル系じゃなくてスポーツだから、ちょっと微妙か?戦闘能力に関しては血統の関係する強さってのがホント多いな。

ハーレム系の作品も血統がどうこうのってのは無いぞ!大体はダメ人間だ。特殊な設定としては「なぜか親とは離れて一人或いは姉妹と暮らしている」って辺りか?ただ、中二病的な戦闘のある作品だと、血統による強さってのがある種の「基本条件」かもしれないな。

お前、中二系の作品ではトップクラスである「Fate/stay night」の士郎は血統が無いぞ。

士郎は「血統アリ」だろ。養父は最高レベルの魔術師殺し、固有結界持ち、それに加えて27本も魔術回路を持っている。こんなに背景があって血統なしとは言えない。

いや、それみんな士郎の「血統」とは関係ないよ。養父の切嗣の魔術や技能は受け継いでいないし、あの世界の魔術師の血統の価値である「魔術刻印」も無い。あと27本の魔術回路ってあの世界の平均よりも多いけど、あくまで平均より多いってだけ。しかも使える属性が偏り過ぎている。士郎ってあの世界の魔術師の能力基準では徹底的に才能がないんだよ。

ガンダムのアムロのように、「背景」として親の能力や地位があるのはともかく、能力が「血統」によって「受け継がれる」というのになると、「結局は血統で決まる」ように思えて微妙な気がしてくるんだよな。

SEEDのキラ・ヤマトや最近のAGEなんかは血統の部分が極めて大きいような気もするが、ガンダムは基本的に血統が理由で優秀なキャラって出ないよね。むしろ、シャアやミネバのように血統のせいで苦労するというか。

シャアは本当に血統で苦労しているよなぁ。弱くもないけど最強ではないし、無能でもないんだけど血統により周囲から要求されるものと自分の求めるものが異なっている。

逆に血統に関する影響が最もスゴイのは何だろうと考えてみたんだが、「魔法先生ネギま!」はどうだろう?メインストーリーに伝説となった父親に関係する部分が多いし、キャラの行動に関しても何かと父親との関係が出て来る。

いや、「ネギま!」はその辺りちょっと違うと思う。あの作品は血統よりも大事なモノを教えてくれる。結局、血統よりも大事なのは「主人公」だということだ。あの作品の主人公補正の前には、血統なんかどうでもよくなってくるぜ!

とまぁ、こんな感じで。


■血統で強いのってなんかひっかかる……

中国オタクの間で人気の高いキャラの「強さ」に関して考えてみた場合、血統的な部分が根拠となることも多いようで、改めてその辺りを眺めてみると引っかかるものを感じたりもするようです。

そう言えば私も知り合いの中国オタクから「どのキャラが強いのか」「強い理由は」などと考えているときに、血統というのが大きく影響しているのに気付くと、別に作品もキャラも悪いわけではないものの、微妙な気分になったりするという話を聞いたこともあります。この辺の感覚についてはなんとも難しいもんですね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年6月4日付記事を、許可を得て転載したものです。 

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