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2012年06月18日
■イナゴ論と深圳
今年2月、「イナゴ論」が話題となった。香港ネット民が中国本土妊婦の越境出産に反対する新聞広告を打ったのだが、「香港人のガマンは限界だ」とのキャッチコピーに添えられていたのは巨大なイナゴの写真。中国本土人はイナゴだと揶揄する内容だ。
(関連記事:「中国人は醜いイナゴ」香港で高まる反中感情=募金を募り新聞に意見広告)
香港VS中国本土というバトルが展開された一方で、ちょっと脇道にそれた展開も。北京市版、上海市版など中国国内都市版のイナゴ広告も作られたのだ。
*左から香港版、北京版、上海版。
北京版も上海版も他地域の人間の流入を食い止めろという排斥論なのだが、異彩を放っていたのが深圳版だ。
キャッチコピーはなんと「来た人はみな深圳人。深圳はあなたを歓迎します」。改革開放後に急速に発展した都市・深圳だけに住民はほとんど外地出身者。言い得て妙のキャッチコピーだ。
■小学校不足
そうはいっても急激な人口増加はやはり問題を引き起こす。その一つが公立小学校の不足だという。
工場が集中し出稼ぎ労働者が多い深圳市は「1+5文件」といわれる独自の規定で、「在住1年以上」「一人っ子」「社会保険を支払っている」などの条件を満たした場合、深圳市の戸籍を持たない子どもでも公立小学校に受け入れると定めている。
しかし受け入れ人数が足りなければ入学できない。13日、南山区の小学生受け入れ可否が発表されたが、公立学校に入れなかった親たちが14日、教育局に駆け込んできたという次第だ。保護者の話では一人っ子政策違反の子どもでも受け入れられているケースもあるほか、1万5000元(約17万5000円)の裏金で公立学校への受け入れ保証という話も出回っていたという。
*子どもと一緒に座り込んだ親。
南山区教育局は「1+5文件」の規定に合致している子どもに関しては、小学校に入学できるよう政府が保証すると説明。公立学校の受け入れ可能人数について再調査するほか、民間学校の学費を政府が肩代わりすることも検討すると説明している。
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