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報道過熱で奇妙なニュースがぽろぽろ……中国の女性宇宙飛行士狂騒曲

2012年06月20日

2012年6月16日、中国の有人宇宙船・神舟9号が打ち上げられた。今回の目玉は初の女性宇宙飛行士・劉洋氏(33歳)。報道が過熱する一方で、なんとも不思議な報道も出ている。


■アイドル的人気!中国初の女性宇宙飛行士

神舟9号は16日に打ち上げられ、18日に宇宙実験モジュール・天宮1号とのドッキングに成功した。今後10日間から20日間にわたり滞在する予定。積極的な宇宙開発を進める中国は独自の恒久的宇宙ステーションを構築する計画だが、その準備は着々と進んでいる。

もっとも今回の打ち上げで注目を集めているのは初の宇宙飛行士・劉洋さん。打ち上げ前から誰がこの栄誉を担うのか、注目を集めていた。人民解放軍のパイロットから最終候補15人が選出されていたが、劉さんに決定したのは打ち上げ直前だったもよう。「最終候補に山東人が3人いる!最初に宇宙に行く中国人女性は山東人になるのでは?!」といった地方間バトル(?)も発生していた。ちなみに劉さんは河南省出身。

宇宙飛行士の選抜条件だが、素人には想像もつかないような条件がそろっている。「肉体的・精神的な成熟度が重視され、25歳以上の既婚者で子どもを産んだ女性から選抜された。またアザや虫歯の有無や、足にタコがないかまで調べられるほか、歯の白さや体臭までチェックされる」との報道もあった(レコードチャイナ)。

体臭は宇宙ステーションでの生活に影響するとしても、足のタコやアザも意味があるのだろうか?白い歯は重要だったようで、アイドルとなった劉さんは白い歯を見せた笑顔を中国国民に振りまいている。


■新華社の合成写真疑惑

さて不思議ニュースその1だが、新華社が掲載した劉さんの写真が合成写真だった疑惑が浮上している(多維網)。

20120620_写真_中国_女性宇宙飛行士

左が新華社掲載の写真。右が加工元と疑われている証明写真だ。顔の表情から髪型、1本こぼれている前髪まで同じ。加工した可能性はかなり高いのではないか。ちなみに撮影者は人民解放軍総装備部政治部宣伝部主任記者の秦憲安大佐とのこと。良い笑顔の写真がとれなかったなのだろうが、何も証明写真の堅い表情を使わなくてもいいのにと思う次第。

こんなどうでもいいネタにもかかわらず、百度掲示板の関連スレは削除され、ネット・ゴシップを取り上げる中国メディアもスルー。国家と新華社の威信に傷がつくのは許せないようだ。


■官僚様の怒りとメディアの取材ラッシュ

もう一つの不思議ニュースは「官僚、劉洋さんの両親を叱る」だ(RFI)。

16日、劉さんのご両親は自宅でメディア記者に囲まれて、テレビの打ち上げ中継を見ていた。そこにやってきたのが河南省鄭州市の副市長。1万元(約13万円)の慰問金を手渡すというパフォーマンスが目的だ。ところが自宅の周りは記者が十重二十重。仕方なくご両親を外に呼び出そうとしたが、打ち上げまであと5分とあって2人はテレビにかじりついている。副市長のお付きの者が「でてこい!なぜあいさつにこないんだ?指導者が外でお待ちなんだぞ!」と叫んだという。

このネタを居合わせた記者が即効でマイクロブログでつぶやいた。というわけで良いところを見せようと頑張った副市長の恥ずかしいネタが海外華字メディアを飾ることになってしまった。なおこちらのネタも中国本土メディアは取り上げていないもよう。

ちなみに、RFIが紹介しているネット掲示板の書き込みによると、中国メディアの取材攻勢もなかなかの迷惑っぷり。劉さんの親族たちは疲れ果てて山奥に逃げ込んだという。70歳になる劉さんのおじさんは「この数日で500人以上の記者に会った!同じ子ども時代の話をさせられるんだぜ。うざっ」と嘆いていたという。

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