中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年06月20日
昨日、うちの会社の女の子は手続きのためロシアのある国家機関に行きました。彼女の報告がちょっとおもしろかったので、ここでご紹介します。
女の子はまず一つの部屋に入って資料を見てもらいました。その後また別の部屋に行って内容をもう一回確認してもらい印鑑を押してもらいました。その後また最初の部屋に戻り、印鑑を見せました・・・。同じ部屋を何回も往復して資料をやっと受け付けてもらえたときのこと。
「手続きが完了するのはいつ頃でしょうか?」と女の子が聞くと、「今なら早いですよ~」と笑顔で言われました。そして、この「今なら早い」理由の説明はどこかの小話にも出てきそうなものでした。
「ほら、そこの部署、有給休暇で全員いないんですよ。彼らが戻ってくると、資料をチェックする人が増え時間もかかるようになるんです」
こういう、ちょっと信じたくないような話は今まで何回か聞いているので、それほど驚きません。私が興味を持ったのはむしろ、この話を聞いたときのロシア人同僚たちの反応でした。
日本人同士の会話だったら、国家機関にちょっとでも不満があると「我々が払っている税金で給料をもらっているのに!」という怒りのセリフが決まって登場するのに、ロシアは違います。女の子の話を聞いているロシア人たちはただ苦笑いをするだけでした。
ちなみに、日本では給与天引きされるから毎月一体いくらの税金を納めているか知らないサラリーマンが多いと聞きます。しかし、金額まで覚えていなくても「納税している」という意識だけは日本人の皆さんはしっかり持っていると思います。
一方、ロシア人たちはそういう感覚はどうも薄いみたいです。所得税は一律13%と、一般の人にしてみれば結構な負担になっているはずですけれども、その血税の使い道までは皆さんはどうも考えていないようです。国民が目覚めたらロシアの官僚も多少なりとも変わらざるを得なくなると思いますけど、今は「国家機関は所詮そんなもんだろう」と言う感じで、何もかも片付いているようです。
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*本記事はブログ「ロシア駐在日記」の2012年6月20日付記事を、許可を得て転載したものです。