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ダライ・ラマと共産党の間で=チベット人共産党員・幹部・退職幹部の動揺(chinanews)

2012年06月21日

焼身抗議などチベット人の抵抗のニュースがたびたび報じられているが、ではチベット人の中国共産党員はどのような態度をとっているのだろうか。その実情がうかがいしれるニュースをご紹介したい。


Tibet
Tibet / AAAAlx

以下はチベット日報に記載されたチベット自治区紀律委員会の通達。太字強調は訳者。


チベット自治区紀律委員会:少数の幹部は動揺した態度を示している=ダライへの追随を公言するものまで
CNTV、2012年5月24日

チベット自治区紀律委員会観察庁は先日、全自治区の各級紀律検査監察機関に政治紀律を引き締め、サガダワ宗教活動期間中の社会安定業務の監督検査を強化するよう求める通知を発した。

(…)通知は次の点を強調している。チベット自治区の党員・幹部は全般的には良好だが、ごく一部の党組織、党員・幹部は党の純潔性の面で問題がある。それは一部の党員・幹部は政治的な鋭敏さに欠け、理念・信念が堅固ではなく、重大問題、とりわけ反分裂闘争における認識があいまいで態度が不鮮明である点だ。中にはダライへの追随を公にしている者までいる。

また一部の党員・幹部、退職幹部は宗教をあつく信仰するばかりか、宗教活動に参加しているものまでいる。一部の党基層組織はきわめて脆弱で、党員・幹部に対する日常教育の管理監督が十分に厳格ではないなどの問題がある。各級紀律検査監察機関は党員・幹部・群衆の教育・管理をさらに強化し、党の純潔性の維持に努めよ。

各級党組織の党員・幹部に対する政治紀律教育の強化を督促し、思想・政治・行動における党中央との高度の一致、とりわけ反分裂闘争における堅固な立場、認識の統一、言行一致、堅固な態度、歩調の一致を確保しなければならない。

党員・幹部は反分裂闘争という国家の安全、祖国の統一、国境の安定という重大な政治原則の問題において、先鋒モデル、中堅中核としての役割を十分に発揮しなければならない。いかなる幻想を抱くことも、いかなる油断も、いかなる同様も、いかなる曖昧さも、いかなる私欲の追求も決して許されることではない。必ずや旗幟鮮明に、十分に堅固な態度を貫かなければならない。

(…)通知は以下の点を要求している。各級紀律検査監察機関は党の純潔性を維持する決定部署の監督検査を着実に進め、中央と自治区党委員会による党の純潔性を保持する各項制度の実施調教を儒運的に検査し、個別の党員・幹部の理想と信念の同様、曖昧な認識、信仰、ダライへの追随、群衆との乖離、民の利益を奪う、職権の乱用といった問題、私利私欲をはかるなどの思想的・態度的な問題、組織不純と政治の腐敗の問題を解決しなければならない。

一部に、徹底的にチベット独立分子を叩くという党の方針に従わない者がいることを明らかにしている。面白いのが退職幹部に対する注意を喚起していること。漢人の場合でも退職後の党員・幹部も一定の敬意で遇され、しかも出世やら仕事やらのしがらみもないので、現役よりは好きに文句が言えるようになる。宗教を信仰することもNGにしているあたり、チベット人党員の場合は退職後にせっせと宗教の道に回帰するというケースが多いのだろう。

チベット人の焼身抗議が続く中、中国共産党は再三にわたり「絶対に手をゆるめてはならぬ」と厳罰主義で望むように基層幹部に指示。実際、基層幹部6人が処罰されたとも伝えられている。チベットに動員されている軍・武装警察の大半は中国本土から送られた漢民族。また今回通達を出した紀律委員会も監視の目を光らせている。基層統治にたずさわるチベット人党員・幹部の中には板挟みになって苦しんでいる者も少なくないのではないか。

ただでさえ情報が少ないチベット。チベット人党員の話はほとんど出回っていないが、それだけに内情が透けて見える興味深いニュースだった。

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