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■蘇雨桐
蘇さんは水汚染被害者支援のNGOで活動していた人権活動家。2010年6月、警察の取り調べを受け、パソコンなどを没収された後、北京を追放されたという。現在はドイツに在住している。(民生観察、中国公民維権連盟)
また2010年4月には中国人民大学で講演中の伍皓・中国共産党雲南省委員会宣伝部副部長に5毛紙幣のシャワーを浴びせる扔銭門(銭投げ事件)を起こしている。政府に都合のいい書き込みをするサクラを、1書き込みあたり5毛の報酬ということから5毛党という。中共宣伝部に対する風刺の意味を持つ。
■公聴会での発言
以下は公聴会での発言内容。蘇雨桐さんのグーグルプラスを参照した。
2012年6月20日、ブリュッセルで行われた欧州議会公聴会に蘇雨桐が出席した。私は中国の人権活動家・蘇雨桐です。現在、ドイツに住んでいます。ここで中国当局による人権活動家への弾圧の現状について証言し、中国人権活動家の声をお伝えしたいと思います。その意味でここに来たのは私一人ではありません。欧州議会の招待を受けた後、胡佳、陳光誠、そして人権派弁護士や報道関係者数人などの中国人権活動家に連絡を取りました。中国の人権について、欧州、さらには全世界は彼らの実際の体験を聞くことができます。彼らが中国で遭遇した出来事は代表的なものだからです。ここにいる議員の皆様は李汪陽氏の事件についてきっとご存知でしょう。しかしここではまず欧州議会に、これまで無視されることが多かった「八九民運」(天安門事件の発端となった民主化運動)の人々の運命にまず注目するようお願いしたいのです。さて、私は中国当局による人権派弁護士に対する抑圧について証言します。陳光誠事件の背後には無数の中国人権派弁護士の境遇が隠されています。2008年、胡錦濤は中共の内部会議において四つの社会不安定要素を提起しました。陳情者、人権活動家、記者、NGOです。人権活動家は抑圧の対象となっている社会グループの一つなのです。昨年2月、唐吉田、江天勇、騰彪など多くの弁護士が、国保により数十日にわたり秘密裏に監禁されました。高智晟弁護士は拷問を受け、現在は新疆ウイグル自治区の監獄にいます。陳情者と強制土地収用の被害者に法律支援を提供していた女性弁護士・倪玉蘭は3回目の投獄となりました。陳光誠のおい、陳克貴の代理弁護士・斯韋江、丁錫奎も当局に警告を受けています。6月7日、法学者の許志永は黒い袋をかぶせられ、30時間にわたり訊問を受けました。彼ら法律の尊厳を守る弁護士たちは逆に弁護の権利を奪われ、いや、それどころか自由すら失っているのです。続いて証言する社会グループ、彼らのことをデジタル時代の異見者と呼びたいと思いますが、彼らは中国の政治に対抗し、ネットやメディアで声をあげ、そしてネットの外での行動をも伴う人々です。記者、ブロガーらを含みます。6月1日、グーグルは中国のネットにおける456の検閲用語を明らかにしました。その一つに艾未未という人名があります。彼はかつて「ネット時代は無限の可能性をもたらす。一つの政党はキーボードを叩く音の中で滅亡に向かうだろう」と話しています。四川大地震のおから工程、上海高層マンション火災について調査した芸術家・艾未未に対して、中国当局はついに忍耐を失いました。昨年4月3日、艾未未は拘束され、81日間にわたり秘密裏に拘束されたのです。釈放後も本当の自由は得られませんでした。自宅の外には10以上もの監視カメラが設置され、動向を見張っています。まさに今日、艾未未が北京税務局を訴えた裁判が開廷しましたが、警察におり軟禁され艾は裁判所に行くことができませんでした。彼はこの一件を国家による巨大な虚偽行為だと語っています。1522万元を支払っても法廷で潔白を申し立てる機会を買うことはできない。正義は永遠に欠席したままだ、と。「祖国がすでに犯罪の道にあることをあなたに理解させたい。」これはかつて艾が述べた言葉ですが、まさに中国ネット民とメディア関係者の真実を映し出したものです。彼らは真実を見つけ広めたことで政府から敵視されているのです。現在、欧州議会ビル外壁にかけられている写真の一つは人権活動家・胡佳のものです。議会の招待を受けた時、彼は陳光誠の委託を受け、山東省にいる陳の母を訪ねる準備をしていました。6月12日、彼は2回にわたり警察に呼び出され取り調べを受けましたが、その時間は合計11時間に及びます。もう一人、中国の著名なメディア関係者・長平氏について取り上げます。彼はチベットの真実を書いた文章のためにドイツへの亡命を余儀なくされました。かつてフランス人権賞を得た温雲超は現在、香港メディアで働いていますが、人権活動に携わったため中国本土に入ることは許されません。わたし自身も帰国は困難です。私たちは自由な国から故郷の友人たちが不自由な状態において受けた境遇を注視することしかできません。劉暁波のノーベル平和賞受賞後、そして中国ジャスミン革命後、中国政府は大規模な拘束を実行し、怒りを露わにしました。来てくれて、忘れられないのが2010年、警察が私の家に来た時のことです。人権活動家・王荔蕻が来て、私を乗せたタクシーを追いかけてくれました。闇夜の中にひびいた母親の叫びでした。この母親のような人、陳情者や弱き人々を助け続けてきた活動家の央は2011年に逮捕され、懲役9カ月の刑を受けました。2011年の1年間、中国では数百人の活動家が拘束され、秘密裏に監禁されたのです。中でも陳衛、陳西、朱虞夫ら民主化人士は重い刑罰を受けました。中国の行動者は今、現状を変えるために戦っています。そして欧州議会が声をあげ、支持してくれることを期待しています。この中国でもっとも暖かい心を持ち、正直で、勇敢な人たちが中国政府に抑圧されているのです。彼らが守っている価値は私たちすべてが守っている価値です。みなさんはもっと中国を注目してください。中国経済の繁栄を見て、人権の現実を無視し、妥協しないでください。暴力を振るい、人権を踏みにじる輩に、ノーと言ってください。やめるよう伝えてください。ここで私の友人を代表して、欧州議会による中国の人権行動者に対する支援に感謝します。とりわけ陳光誠のあなた方への感謝を彼に代わってお伝えします。ありがとうございました。