中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年07月04日
■お弁当書記が中国の話題に
中国湖南省衡陽市祁東県を取材した中国網の記者。 祁東県委書記が職員らと一緒にお弁当を食べている姿を目撃し、携帯電話でパシャリ。マイクロブログにアップしたところ、大反響となった。
中国では官僚の「三公消費」(公費飲食、公用車、公費旅行)が問題となっている。その総額はなんと年6000億元(約7兆8000億円)を超えるという推定もある。「中国国民の生活水準向上を願っているが、発展途上国なのでいたらぬところもありまして」と中国政府が言うと、「じゃ公費で飲み食いやめろ」とネット民が応答するというのが定番だ。
というわけでうまいもの食いまくりのはずの県トップが弁当を食べているのが大ニュースになったという次第。「弁当書記」の精神を見習うべき!という論調もあれば、「そんな写真、普通撮れないでしょ。絶対にやらせやないか!」 という反響もあり。弁当問題は白熱している。
■中国人の「熱々信仰」
「県トップは思いっきり腐敗しており、毎食毎食美味いものを食っているに違いない」という、官僚=汚職という逆信頼が成立している……とかいう方向に話を振ってもいいのだが、それ以上に私が中国の民草に訴えたいのは「弁当ってそんなにダメなのか?」ということなのだ。
日本でも「熱々がごちそう」という言い方があるが、中国は「熱々(热乎乎)」信仰が半端ないのである。お弁当=粗末な食事なのである。駅弁、空弁が大人気とか絶対に理解してもらえないのである。
「お弁当が売れない? お茶が売れない? 中国のランチ事情」(ビジネスメディア誠、2012年6月27日)でもそのあたりの事情が書いてあるが、作り置きのお弁当はいまいち受けないということで、日本系コンビニもその場で熱々のおかずをつめるお弁当を展開している。
■Chinanews的後悔
で、そうした中国人のニーズに応えるべく、中国のお弁当も熱々だったりする。知り合いの中国人が宅配弁当屋をやっていたのだが、冷めた弁当を送ると二度と注文が来ないということでお昼時の超わずかな時間に血反吐を吐く勢いで料理を作っては配送、料理を作っては配送を繰り返したという。あまりの忙しさに無理と悟ってやめてしまった。
写真を見ると、県委書記のお弁当もおかず3品にスープという充実っぷり。「お弁当書記の清貧精神に学べ」とか言っている場合じゃないのではなかろうか。
13億中国人に告げたいのはお弁当はお弁当でいいものであるということ。しかも日本のお弁当は冷めてもおいしいように作ってあるので熱々じゃなくても許して欲しいということ。このことをどうかご理解いただきたい。
とこんなどうでもいいことを書いているのは、お弁当書記の騒ぎっぷりを見ていて、以前に中国人をシンポジウムにお招きした時に松花堂弁当を食べさせたことを思い出したので……。スケジュールがタイトだったので事前にお弁当を用意しておくしかなかったのだが、あれはどうだったんだろうか……。つーか中国に行って接待してもらうと、お昼からきっちりレストラン行って酒まで飲ましてもらえるので、余計にその落差が際立つ。
お昼は会議室でお弁当、というケースは結構多いと思うのだが、それって中国人の皆様的にはどのように受け止められているのだろうか。お弁当書記騒ぎというどうでもいいネタを見て、いまさら気になっているのであった。
関連記事:
「日本人ってどうやって弁当温めてんの?まさか冷たいまま!?」―中国(百元)
【写真】働くみんなはどんなお昼ご飯を食べているの?中国版サラメシ―北京市
「それって靴袋だよね?」ロシア人は日本の巾着袋を理解出来ない(タチアナ)
「なぜ日本の学生たちは焼きそばパンを愛するのか?」中国人オタクの考察(百元)
超高級車で激安弁当を販売=謎の「リンカーン・弁当アニキ」がネット流行語に
中国人オタク「ベン・トーには日本の創作能力の恐ろしさを感じた」(百元)