中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年07月10日
slovenia001 / Great East Japan Earthquake (MOFA, Japan)
ロシアに赴任してから、会社から毎月『海外子女教育』という雑誌が届くようになりました。仕事などで何年間か海外で暮らしてきた日本人家族の話など、参考になる情報が多いから、パパも私もいつも楽しみにしています。そして、いわゆる「帰国子女」たちの話を読んでいると、私は毎回同じ疑問が浮かんできます。
「どうして、ロシア語に『帰国子女』という単語は存在しないのだろうか?」
(そういえば、英語にも確かこういう単語はないような気がします。)
いうまでもなく、説明的な訳ならすぐにでも作れます。
Ребенок, который долгое время жил (обучался) за границей
(長期にわたって海外で暮らした(海外で教育を受けてきた)子供)
かなり長い表現になってしまうから日常的に使うには不便です。そして、実際、海外から帰ってきたロシア人の子供たちのことが話題になっていることは、私は一度も聞いたことがありません。「帰国子女枠」を持っている学校もロシアには存在しないと思います。
一方、日本では、「帰国子女」という単語までわざわざできたということは、それだけ海外から帰ってきた子供たちが注目されているということでしょう。そうすると、帰国子女がいないような学校でも、そういう子供に対してそれなりに理解があるだろうと、私は勝手に推測しています。もし、本当にそうであれば、帰国したとき息子のゆうきは助かると思います。
さて、ロシアはどうして「帰国子女」という言葉が存在しないのだろうか?理由はいくつか考えられると思います。
1) 子供たちは一人一人違う個性を持っている。「帰国子女」も一つの個性にすぎない。であれば色々な個性を持っている子供たちの中で「帰国子女」だけわざわざ取り上げる必要はないと考えられている。
2)「帰国子女」と一言で言っても一人一人事情が違うからまとめて論じるのは難しいと考えられている。例えば、下記のようなパターンが考えられます。
*「一言で海外といってもロシア人が多い地域に暮らしロシア人学校に通った子」と「親以外のロシア人がいない地域で暮らした子」;
*「3年で帰ってきた子」と「7年とか10年海外で暮らした子」;
*「色々な国を転々とした子」と「ずっと同じ国にとどまっていた子」
3)ロシアの教育現場は単純にそういう子供のニーズまで考える余裕がない。
4)ロシアでは「帰国子女」と呼べる子供がそもそもあまりいない。